公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律のあらまし | 平成13年2月 |
第1 適正化法制定の背景等 |
1 これまでの入札・契約制度改革 これまでも、公共工事をめぐり、贈収賄、談合など、各種の事件が多発しており、公共工事の執行ひいては公共事業そのものに対する国民の信頼が揺らいでいます。 最近では、平成5年12月の中央建設業審議会からの建議を受け、建設省では公共工事の入札・契約制度全般にわたる全面的な改革を行いました(表−1参照)。 |
表−1 「公共工事に関する入札・契約制度の改革について」要旨 (平成5年12月21日 中央建設業審議会建議) | |
|
また、国際的な建設市場の開放を背景として、大規模工事について世界の主要国を中心に政府調達のルールが定められつつあったことから、政府は、平成6年1月に「公共事業の入札・契約手続の改善に関する行動計画」を閣議了解し、我が国の公共事業に関し、国際的にも通用する手続の整備を行いました。 さらに、平成10年2月の中央建設業審議会の建議においても、入札・契約手続の透明性の一層の向上のため、経営事項審査の結果、資格審査における格付けの公表や予定価格の事後公表等を進めるべきであるとしています。 これらにより、一般競争入札方式の導入、入札監視委員会の設置、工事完成保証人制度の廃止等の改革が行われましたが、国、特殊法人等及び地方公共団体といった公共工事の発注者間で、取組みの程度にはバラツキがあり(表−2参照)、入札・契約の適正化が未だ十分に図られていない状況です。 |
表−2 地方公共団体における指名基準の策定状況等 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
2 適正化法の特色 フランス、ドイツ、イタリアには、国、地方公共団体を通じて、公共調達について規律する基本法が存在する一方、我が国では、国は会計法、地方公共団体は地方自治法、特殊法人等についてはそもそも通則的な規定は存在しない等により、なかなか入札・契約制度の改革が整合的に進まない状況にあります。このような状況を踏まえ、適正化法は、国、特殊法人等及び地方公共団体を通じて適用の対象としているところが、まず大きな特色としてあげられます。 また、適正化法は、国から町村に至るまで、全ての発注者を対象としているため、工事の発注量、業務執行体制等からみて、様々な主体が含まれることとなります。このため、そのような多様性を前提とすると、法律による一律の義務付けでは困難なこともありますが、各発注者の多様性を踏まえつつも、入札・契約の改革の方向性を示して、その方向に向かって各発注者が努力していくことが重要であり、そのような仕組みとして適正化指針の策定等の制度を設けています。 さらに、これまでの中央建設業審議会建議や行動計画等による改革の推進と異なり、適正化指針に基づく改善の状況を調査し、公表するとともに、必要があるときは、国土交通大臣、総務大臣及び財務大臣が改善の要請を行えることとするフォローアップの仕組みを設けていることも大きな特色の一つとなっています。 |
|