■技術資格試験合格体験記

  受注者に対する礼儀

 〔取得した資格〕
  1級土木施工管理技士
 〔資格取得年度〕
  平成28年度


吉田 健太(よしだ けんた)
 愛媛県東予地方局建設部
 河川港湾課主任
  1.受験の動機・経緯
 1級土木施工管理技術検定試験の受験資格は数年前に得ているのは認識していました。職場 に提出する目標管理シートにも「1級土木施工管理技士の資格を取得する」と毎年書いて提出 していました。これまで受験を避けていたのは、対外的には業務多忙を理由にしていましたが、 本音のところでは、公務員がこの資格を取得して何の意味があるのか自分の中で答えを持って おらず、ヤル気が起きなかっただけです。
 ところが、今回も受験を避けようとしていた ところ、上司からのしつこい受験要求があり、とうとう観念して受験を申し込みました。が、 やはりヤル気は起きず、ある先輩にそのことを相談したところ、「1級土木は、受注者さんに 対する発注者の礼儀として取っておくべきだ」と言われ、その一言でようやく私のヤル気が起 きたのです。

 2.学科試験における留意点や学習のポイント
 学科試験は各分野における基本的な事項について四肢択一・選択形式で出題されます。
 勉強方法は、1冊の参考書を繰り返し学習し、その後、過去問に取り組むことで十分です。
 まずは、参考書の選び方ですが、@分野別(コンクリート、河川など)に整理されていること、 A各分野のポイントがまとめられていること、B数年分の過去問をベースに作られていること、 C各問題の解説が記載されていること、これらを押さえている参考書ならどれでも大丈夫だと 思います。大事なことは、その1冊の参考書を繰り返し学習することです。できれば5回は繰 り返したいところです。試験は選択形式ですので、自分の未経験分野や苦手分野はある程度捨 てていいと思います。そのような分野を勉強するよりも、自分の得意分野で確実に正解できる ようにすることの方が重要です。
 参考書で学習した後は、過去問に取り組みましょう。過去問はインターネットで閲覧や取得 することができます。過去問を解く際のポイントは、本番を想定し時間を計ることです。そう することで、本番での時間配分をシミュレーションすることができ本番で焦ることがなくなり ます。安定して8割程度の正答率を目指しましょう。

 3.実地試験における留意点や学習のポイント
 実地試験は経験記述(必須問題)と学科記述(選択問題)の2種類の記述形式で出題されます。
 実地試験の合否を分けるのは経験記述の事前準備だと思います。出題テーマにおける技術的 課題・検討内容・対応処置のそれぞれについて、分かりやすく簡潔に表現しなければならず、ぶ っつけ本番ではまとまりがなく、何が言いたいのか分からない文章になる可能性が高くなりま す。したがって、参考書は経験記述の出題テーマ別の例文が多く掲載されており、文章の書き方 のポイントを解説しているものを選びましょう。
 経験記述の事前準備のポイントは2つあります。一つは、出題テーマ別に工事を変えるので はなく、できれば一つに絞って選定することです。これは、設問1で工事名や工期等を正確に 記述する必要があるため、複数選定しているとミスの原因になるからです。もう一つは、作成 した文章を職場の先輩や上司に添削してもらうことです。本人はその現場をイメージして作文 するので、どうしても思い込みによる表現不足になりがちです。そのため、その現場を経験し ていない人にも理解できる表現になっているかを確認してもらい、文章の質を高める作業をぜ ひ行ってください。
 私の周りで受験に失敗したほとんどの人がこの経験記述の事前準備を怠っていたそうです。

 4.受験者へのアドバイス、注意点、励まし等
 人間の脳は、繰り返し見聞きすることを重要なことと勝手に判断して定着(記憶)させるような構造になっているそうです。また、繰り返 すタイミングも重要で、その日学習したことは、明日、明後日、1週間後、1ヵ月後、2ヵ月後に復習すると効率的だそうです。やはり、繰り 返し学習することが合格への一番の近道だと思われます。
 私がこの資格の取得を目指したのは、受注者さんに対する礼儀と考えていたためで、資格を取得すること自体が目的でした。そのため、私 の場合は資格を取得するために学習し、技術力向上を目的とした学習をしていないため、ほとんど技術力は向上していないと思います。ただ し、この資格を取得したことによって、1級土木施工管理技士として恥ずかしくないように自己研鑽に励むことが重要であると考えるように なり、技術力向上のきっかけにはなったと思います。