■技術資格試験合格体験記 |
一級建築士試験に合格するために必要なもの 〔取得した資格〕 一級建築士 〔資格取得年度〕 平成29年度 |
内藤 大哲(ないとう ひろあき) 国土交通省 大臣官房官庁営繕部整備課 技術管理係長 |
1.はじめに
一級建築士試験を振り返ってみて思うのは、合否を決めたのは、結局「どれだけたくさん勉強したか」に尽きるということです。 独学でも、塾に通ったとしても、相当努力しなければ合格できないことに変わりありません。 十分な勉強量を確保するために必要なものは、時間とモチベーションです。そこで本稿では、勉強時間の確保の仕方、 モチベーションの上げ方を中心に、私の経験をお伝えしたいと思います。 一級建築士試験は年々難しくなり、合格のためには周囲の人の協力が欠かせないものになってきています。これから試験を受ける人だけで なく、その周囲にいる職場の方たちにも読んでいただけたら幸いです。 2.学科試験対策 私が初めて一級建築士試験を受験したのは、社会人3年目のことでした。仕事で資格が必要になるのは当分先だったので、 軽い気持ちで受験しました。 学科は、歳の近い先輩が独学で合格していたので、私も独学で挑戦しました。勉強は1月頃から始めました。インターネットで過去問を入 手し、大学の教科書とインターネットを駆使して選択肢ごとに解説を作成し、それをもとにオリジナルの参考書を作った後、時間の許す限り 過去問を繰り返し解きました。 しかし、「急いで取る必要はない」「来年もある」と甘えた気持ちがあったことから、なかなかモチベーションが上がらず、勉強に集中でき ませんでした。 さらに、4月に部署を異動した直後から終電で帰る日々が続き、休日しかまとまった時間が取れなくなったことから、試験直前でも週に十 数時間程度しか勉強することができませんでした。試験結果が不合格だったのは言うまでもありません。 2回目に受験したのは、その2年後の、今の係に着任した直後のことでした。歳を重ねる中で、「将来、仕事や家庭において重要な役割を 担うことになった時に時間と労力を割くことができるよう、時間のあるうちに試験に合格したい。」と思い始めたことから、本腰を入れて勉 強することにしました。 勉強は11月頃から始めました。前回の反省を踏まえ、平日の通勤時間や昼休みなどの僅かな時間でも勉強できるよう、スマートフォンで 過去問を見られるようにするなど工夫をしました。その結果、平日は約4時間(通勤で1時間30分、昼休みに30分、帰宅後に2.3時間)、 土曜日と日曜日合わせ10時間、合計週30時間の勉強時間を確保できました。 2回目の試験結果は合格ライン+3点で、運良く合格できました。休暇を計画的に取得しておけば、もう少し余裕を持って合格することが できたでしょう。 3.製図試験対策 製図については勉強方法を試行錯誤する時間がなかったことから、塾に通いました。 3年の期限があり、次年度以降に勉強時間を確保できるか不透明だったため、一発合格を目 指し、最大限勉強時間を確保することにしました。平日は5.6時間(通勤で1時間30分、 昼休みに30分、帰宅後に3.4時間)、土曜日と日曜日は終日勉強し、週50時間勉強するこ とを目標としました。目標を達成するため、上司に仕事の一部を肩代わりしてもらい、試験ま で残業をゼロにしてもらいました。また、試験直前には一週間の休暇を取得しました。 上司には「一発合格するためにも…」と協力をお願いしていたことから、否が応でもモチ ベーションを上げざるを得ない状況となり、試験までペースを落とさず勉強し続けることがで きました。 製図は得意ではありませんが、塾の中の誰よりも時間をかけて勉強したことで、自信を持っ て試験に臨むことができ、無事一発合格できました。 4.おわりに〜合格するために必要なもの〜 冒頭でも述べたように、十分な勉強量を確保するためには、時間とモチベーションが必要です。 十分な勉強時間を確保するためには、早期に勉強を始めるのが最も効果的なのは言うまでも ありませんが、当該年度の課題が試験の約2ヵ月前に公表される製図試験においては、どうし ても限られた時間の中で詰め込むことにならざるを得ません。私の印象では、普通に仕事をし つつ、一発で製図試験の合格ラインに確実に届くだけの勉強時間を確保することは難しいと思 います。十分な時間を確保できるかどうかは、残業時間の少なさ、休暇取得のしやすさにかかっており、 職場のサポートは必要条件と考えています。 一方、モチベーションを高く保ち続けることは、他人が解決出来るような問題ではありません。 自らを鼓舞出来る目標を見つけるか、モチベーションを上げざるを得ない状況に追い込み、それを常に意識しつづけるしか方法はないと思 います。 仕事と勉強を両立させることはとても大変なことです。長く険しい道のりですが、試験勉強をしていくことで、確実に一回り成長すること が出来ます。これから受験をされる方は最後まで諦めずに、やりきってください。 最後にこの場をお借りして、試験勉強にご協力いただきました職場の方にはお礼を申し上げます。また家族には、感謝の一言です。 |