■技術資格試験合格体験記
〜資格取得にチャレンジしよう!!〜

  専門技術者から管理技術者へ

 〔取得した資格〕
  技術士(総合技術監理部門)
 〔資格取得年度〕
  平成26年度


佐藤 祐二(さとう ゆうじ)
前大分県 大分土木事務所
河川砂防課長
(現公益財団法人 大分県建設
技術センター 技術部長)
  受験の動機・経緯
 平成14年に建設部門(河川砂防)を取得し、その後、総監を受験しようと思いましたが、 総監の内容に興味が持てないまま日々を過ごしていました。
 そのような時に、大分県庁内の有志からなる「智楽の会」という技術士受験のための勉強会を 主催している方から「仕事で絶対に役立つので総監を受験してみたらどうか」と勧められ、 そのことをきっかけとして2年ほど前から受験勉強を始めました。
 平成25年の受験では涙を呑みましたが、智楽の会の方々の的確で厳しいご指導のおかげもあって 平成26年度の試験で合格することができました。

 筆記試験における傾向と対策
 総監の勉強をする際に必要なことは専門技術者から管理技術者へ頭を切り換えることです。 そして、記述問題の解答では建設部門の受験の時に駆使した専門技術では無く、 第一線で課題解決に取組んでいる専門技術者の背後で業務全般の管理を行う者として 青本に掲載されている管理技術を使って問いに答えなければいけません。
 そのうえで、@経済性管理(品質・コスト・工期)、人的資源管理、情報管理、安全管理、社会環境管理を正しく理解して使えること、 A限られたリソースの中でトレードオフに考慮しながら課題の解決に向けて各管理の最適配分が出来ること、 B青本に書いてあるリスクマネジメントを理解して使いこなせること、などが解答文の中で読み取れることが高得点への秘訣となります。
 頭では理解しているつもりでも、いざ解答文を書く時には建設部門の専門技術を駆使した解答となりがちです。 そのため、総監技術士の人に解答案を添削してもらうことをお勧めします。
 択一問題については青本を読んだりホームページで情報を収集するだけでは頭に入ってこないので、 私の場合はキーワード解説集を作って何度も読んで頭に入れるようにしました。

 口頭試験における傾向と対策
 口頭試験においても管理技術者として前述の@ABの内容等をきちんと理解しているかを確認されます。 その際に専門技術で応答してしまうと総合技術監理を理解していないと疑われて厳しい質問にさらされることになります。
 これについても事前に総監技術士の人に模擬面接でチェックしてもらうことをお勧めします。

 受験者へのアドバイス、注意点、励まし等
 私の場合は前述の「智楽の会」で答案の添削や模擬面接をしてもらいました。 その中で主催者の方やカミソリの異名を持つM氏から何度もダメ出しをもらいながらも挫けずに頑張ってこれたのが 比較的短期間で合格できた理由かなと思っています。
 総監は取っつきにくいので仲間や先生を見つけて一緒に勉強することが合格への近道だと思います。


  対等な立場を目指して

 〔取得した資格〕
  技術士(建設部門)
 〔資格取得年度〕
  平成26年度


五十嵐 淳博(いがらし あつひろ)
前山形県 県土整備部  砂防・災害対策課 主査
(現山形県 最上総合支庁建設部
道路計画課 主査)
 受験の動機
 業務の発注の際、入札の資格要件として「技術士」を設定することが多々ありますが、 「設定する側が取得していないのは不公平じゃないか」という想いがずっと引っかかっていました。 そのようななか、当時担当していた業務の管理技術者の方の勧めもあり、受験することにしました。

 筆記試験における対策
 取りかかりは非常に遅く、4月まで全く手付かずでした。SUKIYAKI塾(http://www.pejp.net/pe/)に何度もアクセスしながら、 5月の連休中になんとか業務経歴票を書き上げて願書を発送。ようやく勉強に取り掛かりました。
 連休後に初めて過去問に目を通してみましたが、自分が担当する分野なのに、何をどのように書いていいのか全くわからないという状況でした。 すぐにAPEC-semi(http://apec-semi.jp/)から合格答案実例集をオンラインで購入。 それを参考に、まずは過去問について、自分なりのベスト答案を作成することから始めました。 過去問の中から、自分が記述できそうな問題を選んで内容、構成を考え、ベスト答案を作ります。 最終的に12問準備しました(理想は20問でしたが、全く余裕がありませんでした)。 その後は、その12問を対象に、模擬試験の実施と添削の繰り返しです。1日1問はこなしたかったのですが、 2日に1問ペースでしかできなかったので、大きな不安をかかえたまま試験を迎えることになってしまいました。
 筆記試験ではスタートと同時にカツカツという鉛筆音が会場中に響きます。 まずは答案の骨子を書き出す予定でしたが、その雰囲気に圧倒され、中途半端な骨子のまま答案を書き始めてしまいました。 骨子の練習不足は、大きな反省点でした。
 結果は、選択科目UがA評価、選択科目VがB評価。合計で、合格条件である60%になんとか達したようでした。

  口頭試験における対策
 試験会場のドアの前で順番待ちをしている間は、予想以上に緊張しました。しかも、私の前の方の試験がなかなか終わらず、 自分だけ待ち時間が長かったので、緊張が増幅していきます。平常心を保つ難しさを感じました。
 試験では、業務経歴の説明や過去の失敗経験の質問など、ほぼ予想通りであったので、 特に答えられないことはありませんでした。また、B評価だった選択科目Vの筆記試験の問題について、さらに質問されることもありませんでした。

 受験者へのアドバイス、励まし等
 試験にトライしてみて、相手にどう伝えればいいのか、文章の構成はどうすればいいのかなど、 試験勉強自体が日ごろの業務にも役立つものだと感じました。対等な立場を目指して、みなさんもぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。


  資格取得への挑戦

 〔取得した資格〕
  一般土木施工管理技士
 〔資格取得年度〕
  平成25年度


川崎 剛(かわさき つよし)
前仙台市 建設局 道路部
南道路建設課 道路第二係 主任
 受験の動機、経緯
 私が一級土木施工管理技士の資格取得に挑戦してみようと思うようになったのは、 東日本大震災後に異動となった道路工事担当部署に所属して数ヵ月が経った頃でした。 東日本大震災直後は、それまで行っていた通常工事が一時中止となり、代わりに壊滅的な被害を受けた市道等の災害復旧工事が 主な仕事となりました。緊急を要する災害復旧工事にあって、それまで道路工事の経験が少なかった私は、 知識・経験不足から工事を監督することに時間を要しました。そこで、資格取得に向けた学習を通して、 道路に関する知識のみならず、土木一般の知識を習得し、少しでも迅速に、自信を持って仕事を進めたいと思い、受験を決意しました。

 学科試験対策
 私は、学生時代から反復学習を得意としていました。あまり多くの参考書に手を出すのではなく、 1〜2冊の参考書を何度も何度も繰り返し学習することにしました。 しかも、繰り返すのはあくまで間違った問題に限定して進めることとし、学習初期には解答にかなり時間を要したものが、 次第に短時間で解答できるようになりました。また、分からない問題の解答をただ単に暗記するのではなく、回答の意味・理由を理解するように意識しました。 通常の仕事中においても、学習した内容を意識して従事することでよりいっそう理解が深まったような気がします。

 実地試験対策
 実地試験は、経験記述及び選択式の記述問題が出題されます。一つ目の経験記述については、自分の経験した現場の施工管理等について、 学習した内容と照らし合わせて事前にまとめました。整理にあたっては、学科試験で学習した内容の中で、要点・重要事項に着目した記述が必要となります。 限られた時間での回答となりますので、事前の準備は必須だと思います。 また、二つ目の選択式の記述問題では、得意分野を絞って勉強をしておくことをお勧めします。 こちらは、事前にしっかり学習していれば、慌てずに解答できるものだと感じました。

 受験者へのアドバイス
 合格・不合格は別にして、試験に挑戦するための学習を通して得られる知識は土木技術者として、自信につながると思います。 私自身は、1日数十分を数ヵ月間続けるというペースで進めました。これから受験されるみなさまも 日常の仕事を抱えながら学習することになると思いますので、短期間での学習ではなく、長い期間をかけてじっくり学習するがよいのではないかと思います。
 資格を取得して終わりではなく、継続して学習し、学習したことが現場で活かされてはじめて受験した意味があるのではないかと思います。

  地公体支援の強化を推進

 〔取得した資格〕
  公共工事品質確保技術者(T)
 〔資格取得年度〕
  平成26年度


下 野 公 仁(しものきみひと)
前国土交通省 近畿地方整備局
企画部 総括技術検査官
 受験の動機・経緯
 平成26年6月品確法を中心にいわゆる担い手三法が改正された。これを受けて発注者事務を適正に履行するための 発注者共有の運用指針が策定され、国はもとより都道府県政令市ならびに地公体等の発注者責任がより明確になった。
 しかしながら、発注体制が脆弱な市町村も多数存在している事から近畿地方整備局管内では、 地域発注者協議会を設立し発注関係事務に係る情報共有等を行い要望があれば総合評価委員会への助言や監督検査に係る講習会を 開催するなど地公体支援を実施している。これらの支援には、契約関係事務を体系的に理解するなど知識の習得が必要となり、 ここで得られた知識をもって公共工事品質確保技術者(T)資格を取得することを決意した。

 筆記試験における傾向と対策
 論文Tは、実務経験を問われる内容で有り業務経歴証明書の記載内容と合致していることが必要、さらに最新の事案を テ−マにする事で現在の入札契約制度と整合し説得力のある内容になると考えたが、自身の経験事例が平成23年当時の経験を 用いざるを得ないことから、現状との違いを理解し品質確保の観点から @評価項目の選定A技術提案の内容B評価内容C技術提案による効果を順に記述した。
 論文Uは高度な知識が求められる内容であり平成26年6月以降、品確法等の改正に伴いさまざまな取組みが 施行されるなど最新の情報を取得する必要がある。 そこで、国土交通省や地方整備局により公開されている「品質確保の促進に関する各懇談会」「発注者協議会」資料等により情報を得ることが重要 と考え、これら最新の情報を把握のうえでこれまでの業務経験を基本に自身の考えを整理し記述した。

 口頭試験における傾向と対策
 論文の内容を記憶することは当然として、そこに記載した内容に沿って、その背景や自身の考えを箇条書きで整理することにより 多方面からの質問に臨機に対応できると考え準備を行った。
例えば論文T
@自身の経歴と法律・各契約制度等の変遷
A例示とした事案の選定理由等
B総合評価により求めた項目の理由と必要性
C技術提案内容の評価と品質向上となる効果
Dその他、自身の資格取得の動機や資格の活用方法・市町村支援の現状と支援のあり方等


 地公体支援の強化に活用
 市町村支援の窓口となる技術系の副所長(担当者)等は公共工事品質確保技術者(T)(U)資格を取得し、 受験勉強で得られた知識を持って「発注者事務を適正に履行するため」の地公体支援に活用されてはいかがでしょうか。