■技術資格試験合格体験記
〜資格取得にチャレンジしよう!!〜

  「総合技術監理部門」へのチャレンジ〜基本は青本〜

 〔取得した資格〕
  技術士(総合技術監理部門)
 〔資格取得年度〕
  平成25年度


肥川 雄二 (ひかわ ゆうじ)
国土交通省 九州地方整備局
大分川河川国道事務所
 総括保全対策官
  受験の動機
 技術士を目指すなかで、私は総合技術監理部門を最終目標としていたため、平成23年度に建設部門の 合格を契機に平成24年度、平成25年度の2回の受験を経て総合技術監理部門に合格しました。

 筆記試験における傾向と対策
 総合技術監理部門は「経済性管理」、「人的資源管理」、「情報管理」、「安全管理」、「社会環境管理」の 5つの管理の視点が求められ、建設部門が課長クラスであれば総合技術監理部門は経営者クラスの俯瞰的な視点が求められます。
 試験体系としては、必須科目と選択科目の2科目に分類されますが、選択科目については、技術部門に合格すれば免除されるため、 ほとんどの受験生が技術部門に合格後、必須科目のみを受験しています。
 必須科目は、午前中の択一式試験40問と午後の筆記試験に分類されます。
 択一式試験は5つの管理が記載されている「技術士制度における総合技術監理部門の技術体系(第2版)」(通称:青本)を中心に出題されます。 こちらは5者選択で難易度が高く、正誤の数を問うような問題も含まれており、正確な内容把握が要求されます。 それに加えて最近では青本以外からも出題される傾向にあります。
 対策としては青本を熟読して過去問の試験傾向や関連する内容についてインターネット等で幅広く調べるなどして、 より深く内容を身につける必要があり、私自身、青本に一度、目を通した後にまとめノートの作成(2回目以降は追記)、過去問、青本の熟読を 4回繰り返しました。
 筆記試験は、最近の話題が出題され、平成25年度はメンテナンス問題がテーマとして出題されるなど建設部門では書きやすい内容の 傾向にはありますが、5つの管理の視点で書くという練習が必要です。
 具体的には過去問を自身の業務に置き換える練習を行うと良いと思います。

 口頭試験における傾向と対策
 口頭試験ではまず、経歴の説明からスタートするため、申込時に記載する経歴内容が重要であり、「何をやったかでなく」、 「課題に対して、どのように考えどう対処した」を説明する必要があり、それも5つの管理のどの項目で行ったかを説明。 さらに、面接官二人からさまざまな質問を受けるため、事前に多くの想定問答を用意する必要があり、こちらも5つの管理項目で質問される傾向にあります。
 対策は、説明を前提とした申込書の作成、さらに口頭試験前は青本を再度、読み直すとともに、過去の質問、解答を記載した 参考書やインターネット上の解答例に目を通しておく必要があります。

 受験者へのアドバイス、注意点、励まし等
 受験にあたっては、まず午前中の択一試験を如何に合格ラインまで引き上げることが最も重要です。
 午後の論文試験については技術士試験の難関をクリアされた方々がほとんどであり、ある程の点数は確保できるものと考えられます。
 このため、繰り返しになりますが青本を何度も、何度も熟読して、しっかり内容を熟知することが合格への近道だと思います。
 総合技術監理部門の試験は幅広い知識が求められるものであり、青本の中で聞き慣れない言葉を多く目にすることとなります。 青本は我々技術者に対して、専門以外の幅広い知識も重要であるということを伝えているように思います。
 みなさんも機会があればぜひチャレンジしてみてください、必ず仕事に役立つことでしょう。


  継続は力なり!

 〔取得した資格〕
  技術士(総合技術監理部門)
 〔資格取得年度〕
  平成25年度


菅原 常彦(すがわら つねひこ)
岩手県 県土整備部
道路建設課 整備担当課長
 受験の動機
 若い同僚に刺激を受け、この10年間、資格取得への挑戦を続けてきました。 一級土木施工管理技士やコンクリート関係の資格を取得してからは技術士にも挑戦し、平成23年度に建設部門を、 そして、平成25年度には総合技術監理部門を取得しました。

 筆記試験における傾向と対策
 筆記試験は択一式と記述式に分かれています。
  択一式は、総合技術監理に要求される“5つの管理技術”(前頁参照)を 中心とする五肢択一40問で、その大半は青本(前頁参照)から出題されます。対策として、 過去の出題頻度が高い項目に重きをおいた青本の読解と過去問題の演習を繰り返しました。
 記述式は、“5つの管理技術”により、設問テーマの課題抽出から解決策までを600字×5枚の用紙に論じるものです。 平成22年度以降の設問では、自分の体験ではなく、示された複数のケースに則った仮想のテーマを設定させる傾向に変わりました。 対策として、想定したテーマの課題、リスクマネジメント、解決策を管理技術ごとに素早く表にまとめる訓練を繰り返しました。 3時間30分で3,000字を仕上げるためには、リスクマネジメントを行いやすいテーマをいかに速く設定できるかがキーになります。

  口頭試験における傾向と対策
 平成25年度の試験内容の改正で、口答試験は筆記試験の答案と業務経歴により試問されることとなりました。 対策は、4月の出願で提出している業務経歴と、筆記試験の答案を中心に作成した想定問答を頭の中で繰り返しました。 本番では筆記試験の答案からの試問はほとんどなく、大半は業務経歴(詳細欄)に関するものでした。業務経歴は、出願時から口答試験を意識した内容で整理しておくべきです。

 受験者へのアドバイス、励まし等
 今回取得した総合技術監理部門は、物事を多角的に俯瞰して最適解を導き出す技術であり、実際の業務の中で日々発生する諸課題の解決において、 大いに役立つツールであると実感しています。
 技術資格を取得することは、技術研鑽のみならず、日常業務における自信とモチベーションの向上につながります。 資格取得に挑戦してきたこの10年間、私は片道40分ほどの電車通勤時間を受験対策に充ててきました。 精神的、肉体的に大きな負担となるような受験対策を講じなくても、この毎日の小さな積み重ねが合格に結びついたものと考えています。 みなさんも、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。継続は力なり!


  足の裏の米つぶ

 〔取得した資格〕
  技術士(建設部門)
 〔資格取得年度〕
  平成25年度


篠原 巌(しのはら いわお)
東京都 下水道局
東部第一下水道事務所
建設課 主任
 受験の動機、経緯
 最初に受験したのは19年度で、合計7回受験しました。昨年までゼネコンにいたため、周囲から“技術士を取れ取れ”と口うるさく言われる環境でした。 初回の選択問題でA判定が取れたため、「そのうち受かるだろう」と努力もせず、毎年の恒例行事となっていました。 30代半ば頃から、社内外の同世代の合格情報が耳に入ることが増え、嫉妬と羨望から、「今年は必ず合格するぞ」と24年度に本腰を入れました。結果、それから2年かかりましたが…。

 筆記試験における対策
 試験までにやってきたことを、当日100%出しきることが重要です。そのために私が行った対策について紹介します。当日はとにかく長期戦です。 疲労により血糖値が低下し、頭の回転が鈍ることも想定されます。休憩時に栄養補給する、ドリンクやチョコレート等を準備しておくと良いです。 また、道具選びも重要です。IT時代にあの文字数を手書きするのは尋常ではありません。 私は芯が回転し常に尖るシャーペンと折れにくい芯を選定し、焦りによる力みから芯がポキポキ折れ、またさらに焦るという試験終盤の負のスパイラルを払拭させました。 さらに、筆記速度の把握も重要です。書き始める前の論文構成の組立精度が勝敗を分けます。私は、約30字/minでした。 なので、どちらも最初の40分程度を構成練りの時間に充てました。最後に、この類の試験でよく惑わされることは、「あなたの意見を述べなさい。」というくだりです。 そこで本当に自分の意見を述べてしまう人も少なくありません。ここでは、その専門の先生の意見を、自分の意見として書きましょう。 そのためには、世の中の動向や、最新情報にアンテナを張っておく必要があります。

 口頭試験における対策
 ここは、基本的に落とす試験ではないと思います。なので、論文の復元等の基本的な対策を取ったうえで、あと大切なのは姿勢です。 よって、技術力で社会に貢献するため、今後も資質向上に励み続けるという姿勢が滲み出るような解答をすることが重要です。 また加点法であることを考慮し、解らない質問は、「帰って勉強します」と、先に進んでもらいましょう。

 受験者へのアドバイス、励まし等
 本稿のタイトルは、旧職場の大先輩が、技術士資格を表現した言葉です。「取らなくてもどうってことはない。だけど気持ち悪くて仕方がない。」と言う意味です。 確かに業務独占資格ではないため、保有メリットは多くないです。しかし私は、この言葉を言ってみたいと思いました。 その羨望感を動力に、ようやく取得できました。結果、取っていない時にあったものがなくなり、スッキリしました。そして、この言葉をみなさんに伝えます。


  資格取得のきっかけ

 〔取得した資格〕
  一級土木施工管理技士
 〔資格取得年度〕
  平成25年度


川崎 努(かわさき つとむ)
岩手県 県土整備部 都市計画課
主任
 受験の動機、経緯
 今回、執筆の機会をいただいたので、私より若い会員の方々に「受験について重く受け止めないで欲しい」 ということと「受験のきっかけ」を提供できれば、と思いながらキーボードを叩いています。
 前任の出先事務所勤めも数年が経ち、周りにも資格取得をする人がそれなりに聞こえていましたが、 私はなかなか腰が重く、資格取得に距離を置いていました。一級土木施工管理技士は隣席の上司にも受験を勧められていましたが、申込用紙の取寄せにすら至っていませんでした。
そんな自分が受験することになったのは、家族内の「新年の抱負」の発表が原因であり、妻や子どもの目標に対し、自分も何かを設定せざるを得ない事態に陥ってしまったのです。

 学科試験における傾向と対策
 受験するからには準備は必要。まずは過去問集を手に入れました。購入したのは某古書店。準備の必要性は分かっていても、なかなか実践できない、実際には自分の気持ちの弱さとの戦いでした。  幸い通勤電車の車中は自由時間。過去問を眺めてみると、意外と同じような問題が多いことを知りました。過去に携わった仕事に関連する問題は、今の知識でも割と解けるようです。 ポイントを押さえれば正答率は上がりそう。しかし、過去の仕事に接点の少ない問題に移ると、睡魔が襲う…。そんなことを車中繰り返しました。
 密度の薄い時間を過ごすより、1問ずつでも短時間で正しい情報を頭に入れるほうが効率的だったと思います。繰り返し出題される問題は同様の記述を何度も読むことになります。 「正しい記述」を繰り返し読んでいると、「誤った記述」で引っ掛かるところが出てきます。結果的には、古本の問題文と正答の解説が随分役立ちました。

 実地試験における傾向と対策
 実地試験は必須の経験記述と選択の記述問題です。
 経験記述は限られた時間で記述する必要があるため、予め記載する現場を絞り込んでおくことをお勧めします。品質管理や施工管理、安全管理など、 どの現場にも共通していることの中からの出題となりますので、現場代理人や主任技術者とコミュニケーションがとれていれば記述に困ることはないと思います。  選択の記述問題は学科試験と基本的には同じで、要点を押さえていけば答えられるものだと思います。

 受験者へのアドバイス
 現場の技術者と会話をしながら、良いものを造る、適切な維持管理を行う、その延長線で良いと思います。何かをきっかけに資格取得にチャレンジしてみてはいかがでしょうか (翌年の新年の抱負「運動する」は挫折しました)。


  発注者責務を果たすために

 〔取得した資格〕
 公共工事品質確保技術者T
 〔資格取得年度〕
  平成26年度    


田中 弘(たなか ひろし)
三重県 津建設事務所 流域課長
受験の動機・経緯
 平成17年に「公共工事の品質確保の促進に関する法律」が施行され、発注関係事務を適切に実施することができる者を育成するために公共工事品質確保技術者資格試験が 実施されるようになりました。
 私が一念発起して受験してみようと思った動機は、上司から今の時代は資格が大事、品確技術者試験があるから受験してみないかといわれたことがきっかけでした。
私は県職員として公共工事に30年以上携わってきましたが、日常の膨大な事務に流され、今さら勉強などできるのかと半信半疑の決断でした。

 筆記試験における傾向と対策
 課題論文の【論文2】は公共工事(業務を含む)の品質確保についての実務経験に関する論文でしたので、建設事務所において発注者として行っている事例を書きました。 普段行っている品質確保の工夫など丁寧に振り返りをすることが大事であると思います。
 【論文3】は公共工事の総合評価落札方式について高度な知識に関する論文です。具体的に平成24年度以降、国直轄工事に順次本格導入された 総合評価落札方式の改善策(二極化)について、その背景と概要を記述するように求められたので自分なりに日頃思っていることを書きましたが、 国土交通省の情報は非常に少なく、インターネットで調べるなどして苦労しながら作成しました。

 面接試験における傾向と対策
 面接試験は、2名の試験官が行い、25分程度の口述試験です。
 【論文2】、【論文3】の内容について説明を求められるので、自分の書いた論文をスラスラと言えるくらいに暗記しました。 また受験動機や資格をどのように活かすかも聞かれると想定し準備をしました。
 勉強方法は通信講座などせずに独学でひたすら集めた資料を読み込み、想定質問を考えました。

 受験者へのアドバイス、注意点、励まし等
 合格するためには、まずは提出する論文をきちっと書くことが大事です。
 私の場合、申し込み締切1週間前に受験を思い立ったため、時間がなく、準備不足でどうにか期限内に提出できたという感じでした。
 勉強を進めるうちに論文の出来が悪いことに気付き、面接でがんばるしかない状態となりました。 その面接も決して満足のいく内容ではなく想定質問をしっかり考えてその答え方も十分準備すべきと思います。 努力すれば必ず合格する試験だと思いますのでみなさんも受験してみてはいかがですか。


  昨今の公共事業と品質確保の
あり方を再認識するチャンスです!


 〔取得した資格〕
  公共工事品質確保技術者U
 〔資格取得年度〕
  平成26年度    


齊藤 心(さいとう しん)
公益財団法人 青森県建設技術センター 技師
受験の動機、経緯
 私の業務は、県及び市町村が発注する土木工事について積算業務を受託、各種積算基準に基づき、経済的な工事費の算定を行っています。 各公所へ提出する成果品は、品質を確保されていることが大前提となり、また重要な部分を占めるため、積算部門に係る職員は例外なく品質確保技術者試験を受験、 取得することを目標としています。私は、今回の受験資格を有していたため、「公共工事品質確保技術者(U)」を受験しました。

 筆記試験における傾向と対策
 論文は1と2の2つあり、それぞれ文字数制限があるため、起承転結に十分気をつけて文章を構成し、また課題が提示されているため、 課題からそれた文章とならないようにまとめていくことが重要です。
 論文1を作成するにあたり、「公共工事の特性」と「品質確保の意義」について記述することが課題でした。今まで公共工事について漠然と捉えていたので、 「特性」や「意義」とは何であるか、詳細を問われた際、筆が思うように進まず、すでに資格を取得している職場の先輩方に相談したところ、 まず第一に品確法に係る資料を熟読、次に品確法が制定される背景から概要、方針を理解することが重要だとアドバイスされ、関連資料は ネット等で容易に検索・取得することができ、助かりました。
 論文2については、自身の経験上、特に感心をもって取り組んだ事例について記述することが課題でした。 いずれの業務においても課題と直面することがあり、中でも特に自分の技術力の成長につながったものを題材とすることで文章に深みが出るのではないかと感じました。

 面接試験における傾向と対策
 面接試験では応募時に提出した業務経歴証明書、課題論文の内容について試問されます。本番前までは、自分の作成した論文及び資料を何度も読み返すことで 十分受け答えができると思っていましたが職場の先輩に擬似面接をしてもらうと思いのほかチグハグな受け答えとなり、 特に何度も熟読したはずの公共工事の特性や基本理念といった根本的な部分についてうまく述べることができず、 また極度の上がり症から本番では今以上に緊張からオドオドしてる姿が想像できたため、練習では常に声を出し話す内容が簡潔となるように練習し、本番に備えました。
 また、平成26年度9月に品確法基本方針が改正されたため、改正内容についても試問される可能性があると考えられたので改正資料に目を通したところ、 想定が的中しましたが改正内容の全てを把握していなかったことから一部応えることができませんでした。長い沈黙は面接官にも失礼であり、 時間が過ぎていくばかりなので限られた時間を有効に使うためにもわからない旨を率直に伝えました。 法改正等がある年度は、目を通すだけではなく、熟読と改正内容やポイントを理解することが重要です。
特に参考になった資料
 ・国土交通省 北陸地方整備局ホームページに添付の品確法・総合評価方式パンフレット
 ・国土交通省直轄工事における品質確保ガイドライン