■技術資格試験合格体験記 |
技術士を受験して、 思ったこと、感じたこと 〔取得した資格〕 技術士(建設部門) 〔資格取得年度〕 平成23年度 |
粟津 誠一 (あわづ せいいち) 国土交通省 近畿地方整備局 和歌山河川国道事務所 副所長 |
受験の動機・経緯 行政に従事している私が、技術士試験に挑戦しようと思った第一の動機は、受注者には資格を求めているのに我々には 特段の資格要件がないということであり、加えて、自分自身の技術レベルがどの程度のものかも知りたいと思ったからです。 筆記試験対策 特筆すべきことは何もありません。日々の仕事が勉強との思いもあり、通常いわれるような国土交通白書は全て読むであるとか、 国土交通省HPに掲載されている主要施策には目を通すといったことはしましたが、講習会や整備局有志による勉強会に参加するとか、参考書を買うといったことは何もしませんでした。 私の場合、今から思えば受験が試験勉強だったと思います。ですから、お恥ずかしい話ですが合格までに 4年かかりました。 すなわち、1回目:専門A、一般B。2回目:専門B、一般A。 3回目:専門A、一般B。4回目:専門A、一般A。 という具合です。 先輩からの「1回の受験で10点アップ」という言葉どおりの結果でした。逆にいえば、だれでも諦めずに、毎年白書を読破し、 国土交通省の主要な施策を理解すれば4年で合格するといえるかもしれません。 口頭試問対策 合格者の方々のQ&Aを参考に、自分の考えでQ&Aを作成して当日に臨みました。人のものをまる暗記しても咄嗟に答えられないと思います。 あとは、当日受付を済ませたら渋谷の街をぶらぶらして自然体でいることをおすすめします。ジタバタしても仕方ないです。 受験者(公務員としての)へのアドバイス 日々の業務の中で、その背景や元となる政策をしっかりと調べておくことに尽きると思います。 例えば、交差点改良の仕事をしているのであれば、それが「都市圏交通円滑化総合政策」に基づいてのものなのか、 「事故ゼロプラン」に基づいてのものなのか、を調べておくことは重要だと思います。 やはり、技術士に求められる責務の一つである日々の研鑽が重要なのだと思います。 あとがき 平均合格年齢は約42歳と聞きます。私は49歳で合格しましたので、遅い合格となります。「技術士を目指す」とき、ややもすると資格取得が目的となりがちですが、 そうではなく、特に行政に携わる技術者は日々の研鑽の結果である「自分の技術レベルをある尺度で測ってみる」、と考えるべきだと思います。 そのことによって実務としての技術力も身に付き、より一層の研鑽も進むのではないかと思います。 ですから、私も含め合格がゴールではなく、やっと技術者としてのスタートラインに立ったと見るべきではないかと思います。 受験のテクニックとしては、SUKIYAKI塾を参考にさせていただきました。特にその中で提案されている「骨子法」を活用させていただきました。 この場をお借りしまして感謝申し上げます。 |
挑戦する価値ある資格 〔取得した資格〕 技術士(総合技術監理部門) 〔資格取得年度〕 平成23年度 |
石田 安秀(いしだ やすひで) 静岡県 交通基盤部 袋井土木事務所 ダム管理課 主査 |
技術士受験の動機 私が「技術士」を知ったのは、就職して間もない頃、建設会社の若手技術者と名刺交換したときに「技術士(建設部門)」と印字されていたのを見たのが最初でした。 そこで、技術士の持つ知識の奥深さやプレゼンテーションの説得力に感動(!)したのがきっかけで、20代で技術士補、30代で技術士、40代で総合技術監理部門(以下「総監」)を 取得するという、遠大な目標を立ち上げました。 特に総監については、全体最適化の視点が重要であり、最前線で公共事業に携わる者として勉強になると考え、受験を決意しました。 筆記試験について まず択一試験対策については、総監受験者のバイブルである「技術士制度における総合技術監理部門の技術体系」(以下「青本」)を押さえておくことが必須です。 しかし、青本は内容が広範囲にわたるため、出題されやすい項目を中心に強弱をつけて学習するとよいでしょう。後述する書籍や技術士試験の応援サイトが参考になります。 また、日頃から専門誌や一般紙に目を通し、自分の専門分野に関する政策や動向をチェックして整理しておくことが有効です。周辺知識として蓄積しておけば、 口頭試験の時にも役に立ちます。 次に論文対策ですが、過去数年分の出題や社会的なトレンドから、予想問題を作成することをお勧めします。私はトレードオフ、リスクマネジメントなどをテーマに作成しました。 これを手帳サイズに印刷して持ち歩き、通勤や昼休みなどの隙間時間を活用してチェックと修正を繰り返しました。根気の要る作業ですが、何度も修正を繰り返すうちに頭の中が 徐々に整理されて、現時点で自分に何が不足しているのかが判るようになってきます。 口頭試験について 口頭試験では、限られた時間で効率よく加点していくことが求められます。私の場合、反省点がとても多かったのですが、特に反省したのが以下の点です。受験の一助となれば幸いです。 ○口頭試験でも「青本」は重要であること。 ○回答は簡潔に、大きな声で語尾をハッキリと。 ○試験官を顧客と思い、常に謙虚な姿勢で。 これから受験を目指す方へ 平成25年度から試験制度が大幅に改正され、新たな受験対策が必要になりますが、技術士に求められるものは何ら変わらないと思います。 技術士は、我が国の技術者にとって最上級の国家資格であり、受験を通して自らの技術力を客観的に評価することができます。 キャリアアップのためにも、十分に挑戦する価値のある資格ですので、これから受験を目指す方は、ぜひ頑張ってください。 使用した参考図書など ・「技術士(総合技術監理部門)合格指南」 日経BP社 ・「技術士第二次試験総合技術監理部門択一試験過去問題解答と解説」 日刊工業新聞社 ・「日経コンストラクション」 日経BP社 ・「SUKIYAKI塾」 ホームページ |
なせば成る… 〔取得した資格〕 一級土木施工管理技士 〔資格取得年度〕 平成23年度 |
岩崎 賢一(いわさき けんいち) 山形県 最上総合支庁 産業経済部 農村計画課 技師 |
受験の動機、経緯 私の受験の動機は「受注業者と対等な立場でありたい」、そして、「自分に自信を持てるかもしれない」と思ったからです。 職員採用時からさまざまな業務を経験してきた中で、受注業者の担当技術者には資格の所持が求められるのに対し、 指導・監督する立場の発注者は何もなくてよいのだろうか?と、自分の中で漠然とした違和感がありました。 そんなことから、実際に現場に出て設計や施工管理をする受注業者の担当技術者のレベルに少しでも近づきたい、せめて資格上では対等でありたいと思い受験を決意しました。 また、資格取得をとおして、自分に自信が持てるのではないかと考えたことも動機となりました。 学科試験における傾向と対策 学科試験について、下記の手順で対策を行いました。 @過去問内容の把握 → 敵と己を知る A参考図書の購入・熟読 → 知識の習得 B過去問を解く → 理解度の確認 C不明点を参考図書及びネットで復習 → 理解の定着 BとCを繰り返し行えば、合格できると思います。また、分野を絞った対策も有効だと思います。 実地試験における傾向と対策 実地試験についても、学科試験の手順と同様の対策を行い、それに加え、 「身近な既取得者から助言をもらう」 → 先人の知恵を借りる ということも行いました。 また、経験記述と選択問題の詳細な対策は以下のとおり行いました。 <経験記述対策> ○各テーマについて解答を作成、添削 参考図書や既取得者の助言にもありましたので、各テーマについて、自分なりの解答を文章にして作成してみました。練習でできないことは、試験本番でもできない、 または時間切れになる可能性が高いと思うので、 これはとても有効だったと思います。 また、問題文を落ち着いて読み、問われている内容を理解することも重要だと思います。 <選択問題対策> ○過去問を解き、各分野の内容を再確認 学科試験を記述式にした形なので、まずは過去問を解き、学科試験で使用した参考図書も活用しながら、過去問の出題分野を再確認していきました。 私は、毎年出題されている土工やコンクリートを重点的に取り組みました。 受験者へのアドバイス、注意点、励まし等 ○上杉鷹山(ようざん)公の言葉 私が最近身にしみて感じる言葉を紹介して結びにしたいと思います。 「なせば成る なさねば成らぬ何事も 成らぬは人のなさぬなりけり」 (やれば成し遂げられる やらなければ成し遂げられない、何事も 成し遂げられないのは人が本気でやらないからだ: 岩崎訳) 最後に、助言をいただいた諸先輩方にこの場をお借りしてお礼を述べさせていただきます。本当にありがとうございました。 特に参考となった出版物 (学科試験用) ・図説 1級土木施工管理技士試験合格講座(出版社:東洋書店) (実地試験用) ・図解でよくわかる1級土木施工管理技術検定実地試験 平成23年版(出版社:誠文堂新光社) ・平成23年度版 1級土木施工管理技士 実地試験 経験記述(出版社:総合資格) |
建築士資格の取得を 目指して 〔取得した資格〕 一級建築士 〔資格取得年度〕 平成23年度 |
高崎 拓也(たかさき たくや) 栃木県 県土整備部 住宅課 主任 |
受験の動機、経緯 一級建築士の資格は「いつか取れたらいいな」程度の思いで、特別な努力もせず受験を繰り返していた時期がありました。 しかし、一級建築士の資格を持つ人と仕事をする機会が多く、仕事をするうえで自信を持って取り組むことができるよう、 早期に一級建築士の取得をしたいという気持ちに変わっていきました。 学科試験における傾向と対策 学科試験については、計画、環境・設備、法規、構造、施工の5科目で構成されており、合否については総得点及び各科目で合格基準点を上回る必要があります。 私の場合、苦手科目である計画、環境及び施工の点数を伸ばすことに重点を置いて学習を進めました。特に効果的だったのは、過去問題に取り組むことでした。 分からない部分をテキストで補足しながら繰り返し学習することで、出題される分野の範囲や傾向をつかむことができ、最終的に得点を伸ばすことにつながりました。 製図試験における傾向と対策 製図試験については、試験時間6時間半の中で図面を完成させるという試験ですので、時間配分が大きなポイントになります。 私の場合、エスキスを2時間、記述問題の回答を1時間、製図を3時間半としました。 特に製図については、最終チェックを含め3時間半で終わるよう、スピードの向上に努めました。 その結果、当日の試験においてもエスキスや記述問題の回答に比較的落ち着いて取り組むことができました。 製図スピードを上げるには、とにかく反復練習しかありませんが、その時間の確保にとても苦労をしました。 受験者へのアドバイス 今回の試験において、私にとって何よりも重要だったのは、周囲の支援・励ましでした。資格学校に共に通う仲間とは、互いに切磋琢磨しながら学習することができ、 大きな励みとなりました。息抜きも重要で仲間とラーメンを食べに行くことも楽しみとしていました。また、家族や職場の理解・協力も大変ありがたいものでした。 そうした周囲の支援や励ましのおかげで、自分自身の意思を強く持ち続けることができ、くじけそうな時にも何とか頑張り抜くことができました。 今だから思うことですが、「いつか取れたらいいな」としか思っていなかった自分では、いつまでも合格できませんでした。「資格を取るぞ!」という強い気持ちを持って 学習を始め、その中で楽しみや励みを見つけながら続けられたことが、今回合格することができた最も大きな要因だと思っています。 |
土木学会認定 上級土木技術者へのすすめ 〔取得した資格〕 上級土木技術者(河川・流域)(コースB) 〔資格取得年度〕 平成22年度 |
鴨下 由男(かもした よしお) 国土交通省 関東地方整備局 建政部 下水道調整官 |
土木学会認定土木技術者について 土木学会認定土木技術者資格制度は、土木技術者を対象として土木学会がその能力を評価し実務能力を認定 するものです。 資格は、特別上級土木技術者、上級土木技術者、1級土木技術者、2級土木技術者に分けられます。 上級土木技術者にはコースAとコースBがあり、コースAの審査は書類審査、筆記試験、口頭試問。コースBは有資格者の推薦、書類審査、口頭試問によって行われます。 本稿では、私が受験したコースBによる体験を紹介します。 受験の動機 日頃私は、業務内容が予算執行の管理や制度運営に比重が移り、現場の技術から遠ざかっていると感じていました。 このため、技術者として何か継続的教育に取り組まなければと思っていたところ上司からこの資格を紹介されました。 土木学会の認定制度は資格取得後のCPD登録が義務づけられておりCPD記録がWEB登録出来ること、さらに土木部門における継続教育への 支援施策が豊富なことから技術者継続教育に取り組む動機付けとして資格取得を目指しました。 書類記述における注意点 コースBは書類審査と口頭試問により行われるため、受験申し込み時の業務経歴と経験記述が後の口頭試問に影響してきます。 業務経歴は受験資格で求めている能力についてアピールできる業務を記述しました。経験シートは設問に従って必要なキーワードを盛り込むように配慮し記述しました。 注意点として、技術士の経験論文では原稿用紙を使うため改行による空マスも字数に含まれますが、こちらはWEB上で行うため文字数のみで必要字数を満たす必要があります。 用意していた原稿では字数が足りず慌てて書き足した覚えが あります。 口頭試問における注意点 口頭試問は50分間行われ、業務経歴、経験記述、専門技術、若手技術者の育成、倫理要綱等について質問がありました。 質問は「○○について、あなたの考えを3分間で述べてください。」という聞き方で時間内に切れ間なく行われました。 内容的には、事前に準備しておいた想定問答を大きく外すような問いではありませんでしたが、自分の考えを3分間に簡潔にまとめることに注意が必要と感じました。 まとめ 私は、学究には縁遠い生活をしていますので、この資格はアカデミックでかっこいいかなと自己満足しています。また、学会活動も自分には敷居が高いと思っていましたが、 取得後はより身近に感じられるようになりました。 参考図書としては「技術士制度における総合技術監理部門の技術体系」を論理構築やキーワード記述の参考にしました。また、口頭試問に先立ち土木学会の「JSCE2010−社会と世界に 活かそう土木学会の技術力・人間力−」と「土木技術者の倫理規定」に目を通しておきました。 なお、受験要領にはその後若干の変更があり推薦や口頭試問の時間が変わっているようです。 みなさんも是非チャレンジしてみてください。 |
適正な入札契約のために 〔取得した資格〕 公共工事品質確保技術者(T) 〔資格取得年度〕 平成24年度 |
角田 秀樹(かくた ひでき) 千葉県 県土整備部 技術管理課 技術審査室 副主幹 |
受験の動機、経緯 私は平成23年4月に現所属に異動となり、本県の総合評価方式ガイドライン改正等の制度設計や、県の発注工事に係る評価項目の設定・技術評価の審査実務、 市町村への導入・制度検討の支援が主な担当事務となりました。本資格の存在は正直知らず、直接の受験のきっかけは、上司である課長からの勧めでしたが、 総合評価方式による入札では、入札参加者の技術提案を適切に判断する発注者側の知識と経験が必要であり、そのためには対外的にも入札関連の何らかの資格保有が必要ではないかと 考えていたところでした。 論文試験における傾向と対策 本試験での提出論文は公共工事の実務経験に関するものと、総合評価方式の知識に関するものの2課題出題され、後者の課題(論文3)は、 総合評価方式の制度導入後の主な効果と課題、その改善策について問うものです。私の場合は、日頃から参考としている国の「総合評価方式の活用・改善等による 品質確保に関する懇談会」資料等をもとに、本県での制度改善の具体的検討事例を盛り込みながら簡潔に記載しました。なお、論文は1題1,200字と限定されていることから、 口頭試験での対話も意識しながら、ポイントを絞って記載することも一つの方法かと思われます。 口頭試験における傾向と対策 試験官は、学識経験者と行政関係者の2名のペアで実施され、まず、事前に提出した業務経歴や論文2問についての説明を求められます。 当然ですが、記載事項は全て暗記できる位にしておいてください。私は、試験官が記載事項を前提として、より踏み込んだ質問ばかりがされるものと 勝手に思い込んでいたため、自分が記載した内容の一部を中々思い出せずに苦い経験をしました。 また、試験時間の最後には、資格の活用方法、品確法の基本理念なども質問されますので、品確法や適正化指針、国の総合評価方式の方向性等は十分理解し、 入札・契約制度に対する自分自身の考えを整理しておくことが普段の業務のためにも必要と思われます。 受験者へのアドバイス等 本試験(T)の合格者は、受験資格要件から50〜60代がほとんどで、私のように40代での登録者は少ないですが、 入札契約実務の経験者であれば受験しやすい資格であることや、公共工事の発注関係事務に携わる者のスキルアップを図るうえで大いに役立ちますので、 今後は若いみなさま方も積極的な受験をされてはいかがでしょうか。また、入札・契約制度の中での総合評価方式の適用の意義を常に念頭に置きながら、 普段の業務を遂行されることをお勧めします。 |