■技術資格試験合格体験記 |
「技術士に合格するんだ」という強い意志で 〔取得した資格〕 技術士(建設部門 施工計画、施工設備及び積算) 〔資格取得年度〕 平成21年度 |
佐々木 慶一 (ささき けいいち) 島根県 土木部 出雲県土整備事務所 維持第1グループ課長 |
受験の動機及び経緯 私は、長崎と島根で土木職地方公務員として28年間勤務しております。 ある程度の知識は持ち合わせているつもりですが、設計コンサルタントの 技術者に比べて自らは無資格者であるため、対等でありたいと 思い始めたことが受験動機です。 平成19年度に資格試験を受験し、1級土木施工管理技士に合格したのが 受験生活のスタートとなりました。翌20年度に県庁技術管理課に転勤したことで さらなる技術力向上の必要性を感じ、1級舗装施工管理技術者、技術士一次試験を 受験し各々合格しました。翌21年度に技術士二次試験を受験し、筆記試験と口頭試験に合格しました。 出願(履歴書の作成)にあたり 出願には自分にあった専門科目を選ぶ必要が有ります。 受験申込書を書く前に自分自身の業務実績を整理し、 その中から体験論文ネタ候補を 3〜4つ選び、メインとなった科目を受験する専門科目にすべきでしょう(体験論文ネタ→ 受験科目の決定へ)。 筆記試験における傾向と対策 8月の筆記試験合格への近道は、過去問題を分析して的を絞り、繰り返し論文を作成することが大切です。 私はまず、近代図書の「技術士第二次試験の解答例 建設部門」を5冊(つまり10年間分)読みました。 建設一般の予想問題を5つ程度決め、記述後に推敲を加えて、職場内の先輩技術士の指導を仰ぐことを繰り返しました。 また専門科目の学習は、自身の経験だけでは不足する部分について、参考図書の熟読で補いました。 なお、論文の記述力は、建設一般の記述力学習を行うことで自然に養えます。 口頭試験における傾向と対策 二次試験では「高等の専門的応用能力」が備わっているかが問われます。問題点の抽出としては、 普通では見落としがちな事を「何が問題であったか」と発見することがスタートです。 その問題点を克服するために「それにどう対処するか」と複数案を考える。 それぞれの案には長短(ボトルネック)があるが、「自分はこう考えて、この方法を選んだ」と説明できればよいのです。 この思考段階のプロセス内容が「高等の専門的応用能力」そのもので、最も重要な部分です。 例えば擁壁基礎の設計において「軟弱地盤対策が問題だった」は、 地質調査段階で既に分かりきったこと(つまり与条件)です。 この場合、設計コンサルタントはボーリングデータから杭基礎を設計します。 その後工事発注し、現地着工後に杭数本の施工が済んだ段階で、杭の支持地盤が傾斜していることが判明したとします。 道路開通時期は既に公表されており、限られた工期と予算内でどう対応するかが、「高等の専門的応用能力」を発揮できる場面です。 また私の面接時には、履歴書に記載した勤務地順(10カ所)全てにおいて、担当現場とその施工計画を質問されました。 受験者へのアドバイス、注意点、励まし等 受験勉強を全て独学で行う人は別として、必ず誰かの援助(指導者、職場、家族の協力)があります。 ですから、「とりあえず受験」という軽い気持ちでの受験は勧めません。 「自分は合格するんだ」という強い意志を持って下さい。モチベーションの維持が合格への必須条件です。 また、そのような気持ちで取り組むことによって、一発合格できなくとも必ず数年のうちに合格できると思います。 |
技術士挑戦記 〔取得した資格〕 技術士(建設部門 河川、砂防及び海岸・海洋) 〔資格取得年度〕 平成21年度 |
本家 正博(ほんけ まさひろ) 広島県 西部建設事務所 安芸太田支所 土木課 主任 |
受験の動機、経緯 私が技術士という資格の存在を知ったのは、入庁1年目の時でした。 同じ係の先輩から、技術士について色々と聞かされているうちに、自己研鑽のために 「自分も技術士になろう!」と思いました。私はまず、技術士一次試験(技術士補)への挑戦から始めました。 技術士一次試験は3度挑戦し、平成16年に合格しました。そして平成17年に技術士へ初挑戦しました。 しかし、勉強もせずに試験に臨みあえなく玉砕しました。 そして、数年後再度入庁時の志を思い出し、平成20年に2度目の挑戦をしました。 しかし、建設一般の論文で失敗し不合格となりました。 そして平成21年に昨年の失敗を教訓に勉強し、3度目の挑戦で合格することができました。 筆記試験における傾向と対策 @建設一般における傾向と対策 私は国土交通白書を中心に現状や施策の勉強をしましたが、白書の発売は例年5月中旬頃で、 しかも建設一般については試験範囲が広いため、試験までの時間があまりありませんでした。 このため、前年の白書を発売までに勉強しました。また、他に日経コンストラクション、月刊建設などにも目を通し、 建設分野における最新の話題を把握しておきました。 また、分野ごとに作成した想定問題について、実際に時間を計って手書きで論文を作成し、 既技術士の添削指導を受けて「論理的考察力・課題解決能力」を高めました。 A建設専門における傾向と対策 私は専門技術に関する部分は勿論ですが国土交通省河川局の近年における提言、 ガイドラインなどを中心に勉強しました。また、提言ごとに想定問題を作成して論文を作成し、 既技術士の添削指導を受けて「専門知識・応用能力」を高めました。 口頭試験における傾向と対策 @技術体験論文の作成 私は10月から体験論文の作成を始めましたが、結構時間がかかりました。 体験論文についても、既技術士の添削指導を受けて、「技術的課題を創意工夫して解決する」を念頭に置き論文を作成しました。 A口頭試験における傾向と対策 私は、提出した技術体験論文、業務経歴票などをもとに想定質問・解答を作成しました。 また、既技術士による模擬面接指導も受けるなどして、口頭試験のシミュレーションを重ねました。 実際の口頭試験では、模擬面接で想定した質問もあり非常に有意義であったと思います。 受験者へのアドバイス、注意点、励まし等 私の体験からは、これから技術士を受験される方へ次の点についてアドバイスしたいと思います。 ○技術士は勉強すれば合格できる 勉強はある程度しなくてはいけませんが、合格できない資格ではないと思います。継続して勉強することが大事です。 ○インターネットを活用した勉強 インターネットでは、さまざまな情報を得ることができます。添削指導の受講やモチベーションの維持にも有効です。 ○既技術士の指導を受ける 既技術士による添削指導や、模擬面接指導は視点が鋭く非常に有効です。 ○継続研鑽 技術士になってからも、現状に満足せず研鑽を積むことが大事だと思います。 特に参考となった出版物 平成20・21年度ガチンコ技術士学園建設一般対策編 (株式会社フューチャーデザイン) |
あきらめないで! 〔取得した資格〕 技術士(建設部門 都市及び地方計画) 〔資格取得年度〕 平成19年度 |
東田 隆宏(とうだ たかひろ) 兵庫県 姫路市 建設局 みどり整備室 |
受験の動機、経緯 四十歳を過ぎ、自分の能力を客観的に実証したいという単純な想いからでしたが、ストレート合格を 目標に受験に望みました。 しかし、平成15年度に一次試験を合格した後、16年度出願忘れ、17年度は椎間板ヘルニアで断念、 18年度は筆記不合格、ようやく19年度に合格と5年の歳月を要しました。 筆記・口頭試験における傾向と対策 役立った勉強法と口答試験に向けた留意点を紹介します。 筆記の勉強法として、本誌09-04号の体験記でも紹介されていました「SUKIYA・・塾」のHPの「骨子法」が効果的でした。 18年度は想定問題の解答の作成・暗記を中心とした学習法で勉強しましたが、 骨子法を知った19年度は、過去問の解答例等をテーマ毎にノートに整理し、それらを参考に 想定問題の解答をこの方法で文章化する練習をすることで、短期間の学習で成果を出すことができました。 口答試験では、「職務経歴を5分、体験論文を10分程度で説明してください」で始まりましたが、説明中に、 「あなたが専門科目とする都市計画に関する経験が少ないのでは」や「もっと簡潔に」と指摘され、開始早々、焦りました。 改めて、受験申込書の作成からが試験のスタートであり、受験申込時の業務経歴の記入は、専門科目との関係や 論文のテーマにも熟慮することが重要だと思いました。 これから技術士取得に挑戦される方は、一次試験が終了したら体験論文の骨子だけでも作成してから、 その論文や経歴を口答試験で説明することを前提に二次の受験申込書を作成することをお勧めします。 “体験論文は、筆記合格後にと考えないことです。” 受験者へのアドバイス、注意点、励まし等 幸い受験を志した時期に、身近に先輩技術士がおられ、アドバイスを受けましたが、そうでない場合、技術士取得に興味はあるものの、 体験論文等の試験科目への不安から受験を諦める方も少なくないと思います。 一度、前述のHP等で公表されている合格者の体験論文を読まれることをお勧めします。 きっと「これで!?」と自信がつくと思います。 諦めず受験し合格したことで、ものの見方や考え方も変化したように思います。 まさしく『たかが、資格されど資格』の体験でした。 是非、皆さんも挑戦されてはどうですか。 |
プロフェッショナルをめざして 〔取得した資格〕 技術士 上下水道部門(下水道) 〔資格取得年度〕 平成21年度 |
佐藤 洋輔(さとう ようすけ) 大分県 大分市 土木建築部 道路建設課 専門員 |
受験の動機、経緯 受験のきっかけは、上司と既に技術士であった先輩からの勧めでした。 技術士はハードルが高く、縁遠い資格だと考えていましたが、水道、河川、下水道と 水にかかわる仕事をさせていただき、それなりに勉強したつもりでいたこともあり、 実力を試したいと思い、受験を決意しました。 試験の傾向と対策 筆記試験は午前と午後、合わせて延べ6時間で5,400字を書かせるハードな論文試験なので、 制限時間内で適切な解答を記述するためには訓練が必要です。 私が論文を書く際は、課題に対する現状の分析、問題点の抽出、解決策を確実に記すために、 まず解答に必要なキーワードを思いつくだけ書き出し、それらを図にまとめ、矢印等でつなげながら 文章の流れを組み立てます。この文章構成に十分な時間をかけることが重要で、それを怠ると、 制限字数内で「採点者に読んでもらえる文章」は書けません。 これは日常の業務にも通ずることなので、日頃の心がけも大切だと思います。 肝心なキーワードについては過去問、国土交通省のホームページ、 学術論文等で最新かつ十分な最新の情報を得て、身につけておきましょう。 口頭試験における傾向と対策 やはり「技術的体験論文」の対策が重要だと思います。 何を題材にすればよいのかわからないといった声を聞きますが、大きな事業に係わったことが 必ずしも高評価につながる のではなく、技術者の立場としてマニュアルにはないようなことを いかに工夫し、実行したかを書くことが評価に つながると思います。 日常の業務の中で常に最善策を考え、これはと思うことを記録しておけば 体験論文の対策になり、同時に技術力のアップにもつながっていくと思います。 また、口頭試験ではプレゼン能力も求められるので、周りの方に協力していただいて、 事前に模擬試験を行うことをお勧めします。よほどの自信がない限り、ぶっつけ本番は厳しいのではと思います。 受験者へのアドバイス等 日常の業務を抱えながら、この試験に合格するのは大変な努力を要します。 しかし、これに向き合うことで、専門分野に関する計画、設計、分析等について、 申し分ない技術力を得ることができますし、どのような学術論文でも読めるようになってきます。 そのとき、技術者としての大きなステップを踏んだのだという事を実感することでしょう。 多くの方がこの資格に挑戦し、得た技術力を、真の「プロフェッショナルエンジニア」として 十分に活かしていただくことを願う次第です。 私事ではありますが、今回この場をお借りして、資格取得の際にお世話になった 諸先輩方や家族に心から感謝の意を表したいと思います。 特に参考となった出版物 ・下水道実務の要点と解説(第1〜3巻)(山海堂) ・技術士第二次試験の解答例(上下水道部門)(近代図書) ・技術士受験を応援する第二次試験合格法 口頭試験編(トリフォリオ) |
継続的学習 〔取得した資格〕 技術士 (上下水道部門 上水道及び工業用水道) 〔資格取得年度〕 平成21年度 |
山崎 義秀(やまさき よしひで) 広島県 福山市水道局 工務部 配水課 |
受験の動機、経緯 私の水道技師としての経験年数は、現在8年めです。市町の合併により福山市水道局に異動となりました。 これまで経験した職場は、建設課2年、農林課10年、下水道課4年と、専門の技術者とは言い難く 受験の動機は合併がきっかけです。 現在の職場は、専門の技術者が多いなか、当初、私のような者が技師としてやっていけるのかという不安と 異動も少ない職場の為、退職まで頑張るつもりで受験を決意しましたが技術士という資格は技術系の中でも 難関な資格というイメージがあり、事実2次試験の模範解答の問題集を見ると自分には絶対このような長い論文は 書けないという思いと「本当に合格という明日はやってくるのだろうか。」という気持ちで勉強にとりかかったのを 昨日のように思い出します。 しかし今思えば、決して受からない資格ではないこと。今後技術士を目指す皆さんに私の行った勉強の方法や 論文の書き方など参考になれば幸いです。 筆記試験における傾向と対策 私の勉強方法は、短期集中型の勉強としました。勉強時間については1日3時間を目標にしましたが 私はすぐ気が散る性格なので、仕事の前、朝1時間、昼の休憩時間に30分、夜1時間30分と分割しました。 また残業などで勉強できない時も必ず1時間だけは行った結果、勉強自体が習慣化しました。 次に勉強方法ですが過去問を1冊だけ買いました。主に参考としたのは、業界紙の水道産業新聞や日本水道新聞、 全国水道研究発表会講演集などから最近の傾向が何であるかに注意し、 そこから必須科目のテーマを次の4点に絞り込みを行った結果、 @耐震化対策 Aアセットマネジメント B健全な水循環系の構築 C環境対策 となり、この年の試験では耐震化対策が出題され、 また選択科目でもアセットマネジメントが出題されました。 選択科目については、必須科目の勉強と過去問(10年程度)の勉強で合格点は確保できると 思われますが、おそらく皆さんが苦労されるのは必須科目の勉強法ではないでしょうか。 ここでは技術士としての倫理感や価値観など広範な知識を問われ、私の場合いろんな職場を 経験しているのが良かったと思います。 論文は、箇条書きと大見出し(1〜5)中見出し((1)〜(5))小見出し(@〜D)のようにし それぞれの見出しには段落をつけスッキリとしたレイアウトにしました。 口頭試験における傾向と対策 口答試験では提出した経験論文について、初めに10分間程度のプレゼンテーションを求められます。 容姿は清潔感を感じるように心がけ、話かたについても試験官の目を見ながらよく通る声と 一定のスピードで抑揚をつけると良いでしょう。 プレゼンでは、緊張し完璧に覚えたはずの論文の中身をいくつかとばし、また試験官から論文について 「技術的根拠がない」との指摘を受けしどろもどろになりました。 口頭試験は、私の場合、ほとんどが提出論文の中身についての質問でした。今回の試験で思ったことは、 分からない質問をされたら「正直にわかりません。後日確認しておきます。」と答えたほうが良いでしょう。 中途半端な知識ではボロがでます。 提出用の経験論文については、遅くとも筆記試験が終わった早い時期に取り組んだ方が良いと思います。 受験者へのアドバイス、注意点、励まし等 技術士を取得するためにはまず目的意識をもって学習することが重要です。 ベテラン技術者が持つ思考スキルや行動スキルを若年技術者へ形式知として移管することが重要です。こういった知識の移管が @工期の順守 A事故の減少B品質低下の防止 C危機対応能力の向上などにつながります。 併せて資格取得の奨励が組織自体の技術力のアップにつながると思います。 最後になりますが、技術士資格を取得することが到達点として考えるのではなく技術力向上のための通過点と考え、 さらなる継続的な学習を行い技術者としてスキルアップする必要があります。 資格取得は技術者としてスキルアップの成果と考え皆さんの継続的研鑽、学習を期待します。 特に参考となった出版物 ・技術士第2次試験の解答例(近大図書) ・全国水道研究発表会講演集 ・水道技術ジャーナル(水道技術研究センター) |
技術者としての知識の習得 〔取得した資格〕 1級土木施工管理技士 〔資格取得年度〕 平成20年度 |
植本 純平(うえもと じゅんぺい) 茨城 県土木部 都市局 公園街路課 主任 |
受験の動機、経緯 茨城県に採用され、6年間は土木事務所で現場を担当し、監督員として多くの現場を経験してきました。 3年目までは監督員という立場でありながら、請負会社の現場代理人から逆に指導やアドバイスを受けながら、 現場の知識や施工管理の知識を得てきました。 私が、1級土木施工管理技士の資格試験を受験しようと思ったのは、7年目に技術管理部門の部署に配属されたことと、 総合評価方式の入札方法の導入により、請負会社に技術的な提案等を求め、それを判断する発注者側の知識も求められるように なったことがきっかけです。これまでの6年間で得た知識では、これらの技術の判断はできないうえ、 自分の技術力にも自信がなかったことから、知識の向上を目的に資格試験の受験を決めました。 筆記試験における傾向と対策 筆記試験の範囲は土木全般の知識が求められ、すべての項目を理解するにはかなりの時間を要しますので、 長期的に毎日少しずつ学習することをお勧めします。しかし、ここでは、私が実施した時間がなく 短期間で筆記試験に合格できる対策を述べます。 筆記試験の対策において、最も効果的なことは過去5年間分の試験問題集を3回繰り返すことです。 3回繰り返すことで、過去5年分の問題はほぼ間違えることはなく解答できるようになります。 筆記試験のほとんどの問題は過去に一度は出題されたもので、本番の試験では目新しい問題はほとんどなく、 落ちついて試験問題を解くことができ、おのずと合格点に達します。 実地試験における傾向と対策 実地試験は記述式の解答ですが、これについても過去の試験問題をもとに、自分の経験した現場について、 安全管理や施工管理を主体におき、1〜2回書けば本番でも記述することができます。実地試験については、 苦労した現場を多く経験した方ほど有利であり、逆に現場経験の少ない方ほど対策は必要となります。 受験者へのアドバイス 1級土木施工管理技士の資格試験は、短期間の対策でも取得可能な資格です。 忙しく勉強する時間がない方は、先に述べた学習方法をお勧めします。 しかし、過去問を短期間解くだけでは、応用力のある幅広い知識を身につけるには限界があるため、 これから受験を検討している若手の技術者の皆様には、長期的な学習により、 幅広い、応用力のつく知識の習得をお勧めします。 その結果、1級土木施工管理技士の資格は容易に取得が可能と思います。 特に参考となった出版物 詳解 1級土木施工管理技術検定試験過去5年間問題集(成美堂出版) |
公共工事品質確保技術者(T)を 受験して【実践指南】 〔取得した資格〕 公共工事品質確保技術者(T) 〔資格取得年度〕 平成22年度 |
高橋 大助(たかはし だいすけ) 高知県 中央西土木事務所 越知事務所 所長 |
受験の動機、経緯 実のところこういう資格があるということは、恥ずかしながら昨年5月の所長会で紹介されるまで知りませんでした。 動機も不純で、2年先輩が「再就職をするにも持っていて損はしないから一緒に受けないか」ということで、急遽受験することとしました。 そこで、あわてて全建のHPから書類一式をダウンロードし、申し込みの締め切り間際に課題論文を提出した次第です。 公共工事品質確保技術者の資格には(T)と(U)があります。 私は発注者としての現場経験も入札の当事者としての経験もあり、(T)(U)のいずれの資格要件にも該当していましたが、 (T)は主として総合評価方式の入札実務者を対象としたものですので丁度私に合っており、今回は(T)で受験することにしました。 また、(U)はどちらかと言えば現場での品質確保についての対応や工夫が要求されますので、 受注側である建設業やコンサルタントに適していると思います。平成22年度の試験のスケジュールは次のようでした。 1.6月初 筆記試験の申し込み締め切り 2. 9月末 筆記試験の合格発表と二次試験の通知 3. 10月末 二次試験(口頭試験・約30分) 4. 11月末 二次試験の合格発表 筆記試験における傾向と対策 論文試験では、総合評価や現場体験における要改善点や改善に要した工夫実例等について2題出題されるので、 それぞれについて自分が現時点で改善しようとすることや改善策で一番印象に残っていることを簡潔明瞭に記述します。 箇条書きで書けば一番わかり易いが、1題1,200文字以内と字数が決まっており、 箇条書きでは改段の場合は余白で文字数を取られるので箇条書きでは多くの項目について書くのは困難となる。 従って、余計なことは書かずに、一番書きたいことを簡潔に記述するようにするのが良いと思われます。 口頭試験における対策 実のところ、口頭試験についての事前知識や情報は横着にも何も用意していなかったので、 総合評価方式で経験を積んできたという自負(?)のみを頼りにぶっつけ本番で臨みました。 今振り返ってみますと、最低限、前年度に受けた複数の受験経験者から どんなことを聞かれたのかを聞いておくべきだったと後悔しています。 試験では、自分の書いた論文の内容(約2/3=20分)と、 勉強方法や資格の活用方法等(約1/3=10分)について聞かれたので、 1.論文内容は2題とも暗記し、課題と改善点等をスラスラ言えるようにしておく。 2.日頃の勉強方法や資格の活用方法についても整理しておく。 3.品確法については、法の趣旨と概要を頭に入れておき、 入札実務者として今後の入札制度についての方向性(入札の公平性、透明性、説明責任等)を考えておく。 参考文献(勉強の教材) 日経コンストラクションでは、過去4年にわたって総合評価方式に対する対策等が特集されていたので、 本資格の論文提出ばかりではなく、入札実務においても大いに参考になりました。 |
資格保有者として、公共事業に携わりたい! 〔取得した資格〕 公共工事品質確保技術者(U) 〔資格取得年度〕 平成22年度 |
名取 恵美(なとり えみ) 社団法人 山梨県建設技術センター 業務部 業務課 調査管理班 |
受験の動機、経緯 私は、市町村等の発注者向けの「品確法」PRパンフレット作成業務を担当しており、 「品確法」について勉強していました。 ちょうどその頃、「公共工事品質確保技術者制度」が 全国的に創設されました。そして、事務所の先輩方が受験し、見事にその資格保有者となったという報告を受け、 「先輩方と同じように資格保有者として、少しでも公共事業に携わりたい」との気持ちが強くなり、 受験資格のある「公共工事品質確保技術者(U)」を受験することにしました。 筆記試験における傾向と対策 筆記試験は、論文1と論文2の2課題でした。論文1の課題は、「品確法」の内容を問うものでした。 実際の品確法は、法律ということもあって、難しい言葉で説明されているので、理解するのに苦労しました。 そこでパンフレット作成業務の際に収集した発注者支援用の冊子等が比較的わかりやすく解説されていたため、 これを参考にして記述しました。 論文2の課題は、前年度と同様、自分の経験した業務についての「問題点とその対策」について述べる課題でした。 これについては、今までの業務の中でも、自分が最も工夫をした業務について記述したので 比較的スムーズに作成することができました。内容については、発注者との協議書等を読み返し、 「問題点」と「その対策」を対話方式で記述することで、簡潔、且つ、わかりやすい論文となるように工夫しました。 論文を作成するにあたっては、事務所の先輩から、「口頭試験では、論文で述べたことを中心に質問された」との アドバイスがあったため、参考文献等を丸写しするのではなく、自分の言葉で記述すること、 また、自分が相手に説明しやすい(話しやすい)文章構成となるように心がけました。 口頭試験における傾向と対策 口頭試験の対策では、「とにかく、自分の論文内容をスラスラ言えるように」とのことでしたが、 なかなかうまく行きません。 そこで、私はワープロソフトを利用して、論文内容を白紙状態から 、何度も書く練習をしました。また、職場の先輩方が模擬面接を行ってくださり、 いろいろとアドバイスをしてくださいました。 そのおかげで、当日は比較的緊張せずに、試験に望めたと思いますので、模擬面接はお勧めです。 さて、口頭試験当日ですが、試験官は2名でした。最初に論文2の内容を述べた後、 それについての質問等がありました。私の場合は、論文1の内容については、あまり質問されませんでした。 代わりに、自分の考えを問われる質問が多かったので、品確法に関わる知識だけではなく、 それについての自分の考えもきちんと整理しておくことも必要だと思います。 ただし、不明な点等については、言葉を濁さず、「わからない」ということを伝えることも大事だと思います。 実際、私も不明なことは、「わかりません」と述べました。 受験者へのアドバイス、注意点、励まし等 私自身、資格取得への挑戦は久しぶりで、家庭もあったので勉強する時間があるか多少の不安はありました。 しかし、この試験は他の試験とは少し異なり、問題集をこなすというものではなく、 通常業務上で取得した知識があれば、受験可能でした。そこで、受験資格を満たす方は、あまり気負いせずに、 積極的に受験していただきたいと思います。 特に参考になった出版物 ・「総合評価方式使いこなしマニュアル」 ・ 各地方整備局HP等 |