建設事業に係る技術的な質問

Q32 海洋構造物における本体工と上部工の継目について

防波堤等の本体工を水中コンクリート(無筋)で現場打設し、その後、上部工を普通コンクリート(無筋)
で現場打設する計画があります。
その場合の本体工と上部工の継目についてですが、コンクリート標準示方書に記載されているとおり、
打継目は、満潮位から上60cmと干潮位から下60cmの間に設けてはいけないのでしょうか。
本構造物は無筋コンクリートであり、セメントには高炉B種を採用することから、本体工と上部工の継目
を平均水面(港湾の施設の技術上の基準・同解説P828を採用)としても問題無いのではないかと考え
ています。

A32 御質問の如くコンクリート標準仕様書の施工編には、「一般の場合でも、打継目を設けないようにする
ことが大切であるが、海洋構造物では特にこの部分から劣化が始まる場合が多いことから、これを避
けるようにする必要がある。満潮位から上60cmと干潮位から下60cmとの間の干潮部分には、打継目
が位置しないよう施工計画をたてる必要がある。・・・・」と解説されています。
また、同標準仕様書の「コンクリート標準仕様書の適用について」の(@)頁には、「[施工編]は、コンク
リート構造物の施工に関する一般的な基本原則を示している。・・・」と記載されています。
従って、コンクリート標準仕様書の記載は施工上やむを得ず打継目を設ける場合に於ける、打継目
の位置に関する施工計画についての記述と思われます。

一方、港湾の施設の技術上の基準・同解説(下巻)の828頁の(7)には「ケーソン上面の高さが低いと、
ケーソン据付け、中詰砂投入及び蓋コンクリート・上部コンクリート打設作業に制約を受けるの
、一般に上面の高さは朔望平均満潮面以上とする。ブロック式の場合、最上段のブック及びセルラ
ーブロックの上面の高さは、上部工を施工しやすいように、少なくとも平均水面(M.W.L)以上、でき
れば朔望平均満潮面以上にしておくことが望ましい。」と記載されています。
従って、同解説の記載は、ケーソン式混成堤についてケーソンへの中詰砂投入時及び蓋コンクリート・
上部コンクリート打設時に作業上の制約を受けないようにケーソン上面の高さを設計しておくこと、ブロ
ック式混成堤について上部工が施工しやすいように最上段のブロック及びセルラーブロックの上面の
高さを設計しておくことを目的にしたものと思われます。

なお、御質問からは構造の詳細が不明ですが、「港湾の施設の技術上の基準・同解説」828頁の記述
は上述の如くケーソン式混成堤及びブロック式混成堤の場合に適用されるものと思われます。

Q31 鋼矢板護岸の粗度係数について

河川において鋼矢板護岸を施工する場合、その粗度係数をどのように評価するのが良いのでしょうか。

A31 基本的に粗度係数は河道断面等の設計対象地点の状況に応じて適切に設定することが必要です。
粗度係数の評価方法については、周知の如く、既往洪水時のデータに基づき不等流計算などの方法
により逆算する方法と、既往研究成果を反映させて推定する推定法があります。
例えば 「美しい山河を守る災害復旧基本方針」の参考資料によれば、「単断面の中小河川では河
床材料の他に河川法面粗度の影響も無視できない
ので、河床部、高水敷部と護岸部(法面部)
に分けて粗度係数を設定し、これらを合成して求める合成粗度係数を用いるものとし・・・(中略)・・・。
護岸(法面)部の粗度係数は一般にマニング・ストリクラーの式により求める。・・・(中略)・・・
なお、式中の相当粗度は通常は模型実験により求めるものであるが、相当粗度が把握できない
場合、粗度係数は(表T-1-2)を参考としてもよい。」としています。


    注)木柵護岸の階段状の影響については、現在評価法がないので当面この表による。
    出典 : 「美しい山河を守る災害復旧基本方針」 (平成18年6月)

しかしながら、鋼矢板護岸の粗度係数についてはこの表に掲載されておらず、実務上は類似している
と考えられる構造の粗度係数を準用していることが多いようです。
「間知、張ブロック」、「連節ブロック」と同じ扱いとしていることが多い。)
その他、狭小水路における鋼矢板護岸の粗度係数についての研究や、景観・自然との調和に配慮し
た鋼矢板護岸に関する研究等も行われており、これらの研究も参考とされ、計画箇所に対応した適切
な河川計画を策定されるようお勧めします。

Q30 消波工付き護岸の消波工天端高の決定方法について

現在埋立地海岸護岸を水産庁監修の「漁港・漁場の施設の設計の手引き」を基に消波工付き護岸
で計画中ですが、越波流量から求めることとして、資料2.9直立護岸と消波工付き護岸の越波流量
(グラフ附随図は護岸天より消波工天が低く描かれている)から護岸天端高を求めました。
しかし、「海岸保全施設築造基準解説」の消波工に堤防天端高は消波工天端よりある程度の高さを
持つことを求め、前記設計の手引きには、簡便法及び打ち上げ高から求める場合の消波工の所要天
端高は護岸天端高以下にする方法を示していますが、越波流量から求める方法には何も記載があり
ません。ご教示願います。

A30 「海岸保全施設築造基準解説」については、1999年の海岸法の改正により「海岸保全施設の技術
上の基準・同解説」(海岸保全施設技術研究会編)に改められています。
「海岸保全施設の技術上の基準・同解説」によれば、堤防天端高・消波工天端高等の設計について
は、以下の方法によることが出来ると考えられます。

堤防天端高の設計波に対する必要高について、越波流量を求め設定した許容量以下におさえるた
めに必要な高さとする場合、許容越波流量、堤防の堤脚水深、沖波有義波高を、2-58頁と2-59頁に
掲載されている図2.3.6.1「頁直立護岸の越波流量推定図」に当てはめることにより求める。

同じく、消波工を設置した場合の堤防天端高の設計波に対する必要高は、2-61頁と2-62頁に掲載
されている図2.3.6.2「消波ブロック被覆護岸の越波流量推定図」により求める。

また、消波工を設置した堤防における消波工の水面上の高さは、3-56頁の表3.2.6.4に示されてい
る消波工の諸元の標準を参考にして定める。

以上、「海岸保全施設の技術上の基準・同解説」に掲載の基準を参考にして記述しましたが、同解
説書の趣旨を十分斟酌の上、これらの図及び表等を参考として、現場条件を十分考慮しつつ、発注
者として適切に設計されることをお勧めします。

Q29 橋梁部で一部引堤となる築堤河川での堤防取付形状について

築堤区間の河川における道路橋の架替において、 橋台を河川の将来計画断面に合わせた位置に計
画し、 一部引堤を行うこととした。 (河川改修の予定は当面無し。 橋梁幅員16.8m) 橋梁部で将来の
拡幅断面に合わせているため、 橋上下流で現況堤防への取付けが必要となる。
このような場合、 これまでは堤防のすりつけ角度を解説構造令 P.175にある11度を準用してきたが、
取付け延長が長くなるため、 なるべく短い延長となるようにすりつけ角度を大きくしたい。
この時、 治水上の影響 (流水の作用による堤防への影響等 )をみるため架替前後の平面2次元流
解析を計画したが、計算結果をどのように判断すればよいか苦慮しているのでご助言をお願いします
(流速、流向の変化等の評価方法)。 また 、上記手法は妥当でしょうか?

A29 平面2次元流況解析を実施とのことですが、 実施に当たっては解析の目的 ・利用方法等を考えて計
画されていると思いますので、 計算結果の利用方法については解析計画策定時の目的等を十分に
確認する必要があると考えます。

なお、 御質問からは必ずしも主旨が十分判断できませんが、 参考として 「堤防の引き堤によりアバ
ットのみ現況堤防より後ろに引き下げる場合、 現況堤防をどの程度下げればよいか検討する」 との
主旨と考えた場合の、考察を以下に記述します。

最初に、 河道計画の観点からは 「 引き堤による川幅急拡幅の影響は、 河川有効河積を11゜の範囲
以内のみ評価し、 その外側は死水域として評価しない 」 ことにより、 計画流量時水位 ・流下能力評
価との整合を図ることが良いのではないと考えられます。

次に、 堤防への影響については、 御質問の平面二次元流況解析により、 拡幅した堤防前面に作用
する外力を検討の上、 堤防の安定性に影響がないか評価してはどうかと考えます。
なお、 具体的な評価方法や判断基準については、 個別の現場状況を十分勘案の上、 河川管理者と
橋台設置者との協議により決めていく必要があると考えます。

いずれにしても、 詳細な現地状況と将来計画を勘案しつつ安全性に十分配慮して、 公共施設の管理
者として整備方針を決定する必要があると考えます。

Q28 天然石舗装の石材の厚さの決め方

天然石舗装で石材の厚さを決める方法はありますか。
使用材料は島根県松江市宍道町産出の来待石(凝灰質砂岩)で使用場所は歩道部です。
基礎にコンクリートを打設する予定です。

A28 歩道に施工する天然石舗装の石材の厚さを決定する基準については確認できませんでしたが、都市
公園技術標準解説書 【(社)日本公園緑地協会発行】 の 「表3−3圃路舗装の例」 の中に、小舗石、
石敷、石張りをそれぞれ舗装材とする舗装の断面図が例示されています。
参考としてみては如何でしょう。
また、(社)日本道路建設業協会の会員企業数社は、各社それぞれの技術情報として天然石舗装の
標準断面をホームページ等で公表していますので、これについても参考とするか問い合わせてみては
如何でしょう。

なお、車道部に舗設される自然石等を用いたブロック舗装としては、インジェクト工法が新技術情報
提供システムに登録さていますので、参考までにお知らせします。

Q27 ウオールブロックを使用したEPS工法の耐火基準について

国道と県道交差点の住宅密集地域で既設歩道2mを4mに拡幅する計画で、高さ3mのEPS工法を
採用した。
当初H鋼コンクリート板の横矢板の一般的な型式を考えていたが、 隣接家屋のはなれが1m未満の
箇所があるため、 軽量モルタルを使用した壁面材と一体化したウオールブロックを使用することを検
討している。 建築基準、 消防法等からどのように判断すべきかご教授願いたい。
尚、 都市計画上は防火地域等には指定されていない。
 1.耐火建築物または準耐火建築物、 外壁として法的要求性能
   1時間または45分 どのように考えたら良いか?
 2.ウオールブロックは、 t=25mmのモルタル厚の物を考えているが、 目地材に樹脂系の注入目
   地材を使わざるを得ないが耐火性はどうなのでしょうか?

A27 軽量壁面材付きEPSブロックによる軽量盛土工法は新技術としてNETISに登録されており、 国土交
通省や地方自治体などでの実施例が散見されます。
NETIS登録内容によると留意事項として 「 ウオールブロックの耐候性、 防火性の面より、 必ず規定
の目地材を設置すること 」 とあり、 ウオールブロックの防火性についても検討されていると思われま
すが、耐火性能について具体的にどの様な検討がされているかについては、登録申請者等に確認
される必要があると考えます。

尚、道路管理者が施工する道路構造物としての擁壁の耐火性能に関する一般的な基準については、
確認できませんでした。
また、道路構造物としての擁壁は建築基準法上の所謂 「建築物」 には該当しないと考えられ、建築
基準法第2条第7号及び第7号の2の規定には該当しないと思われます。

従って、 ウオールブロック工法の耐火性能について検討する必要があると判断した場合には、 道路
管理者として現場毎の条件等を総合的に勘案し、 要求性能を決定する必要があると考えられます。

Q26 もたれ擁壁について

切土箇所に設置するもたれ擁壁についての質問です。
背面が岩の場合、裏込め土は必要ないと聞きました。擁壁工指針もそのような絵になっていましたが、
明確には書かれていません。 何か書籍に書いてあるのでしょうか。
たしかに、切土箇所で裏込め材を入れると大きく床堀しなければならなくなるので、無駄な気もします。
そういった場合、背面が土砂であっても、裏込め土をせずにもたれ擁壁を設置してもよいのでしょうか。

A26 切土部の擁壁に関して、 平成2年版 道路土工要綱 172頁の 「 (3) 切土部擁壁の土圧 」 の項に
「 この場合の擁壁は、切土面の保護が主目的となることから 図3-31 に示すようなもたれ式擁壁や
ブロック積擁壁がほとんどである。 このような場合のもたれ式擁壁に作用する土圧は、切土面という
異質の境界面があることから、 盛土部に構築する擁壁とは異なってくる。 すなわち土圧はその境界
面の粗度、 排水状態、 裏込め材料の性質や締め固めなどの影響を受ける。 ・・・」 とあり、もたれ式
擁壁の背面の空間に裏込め材や裏込め土が設置してある 図3-31 が記載されています。
切土部にあっても、 地山と擁壁の間に空隙ができる場合には、 充填が必要と考えられます。

尚、 「 背面の切土面が岩の場合には裏込め土は必要ない 」 との記載がある書籍については確認
できませんでしたが、 地方整備局で作成されている設計便覧には 「 擁壁 」 の項に、 もたれ擁壁の
盛土部形式と切土部形式の標準図が記載されているものがありました。
この切土部擁壁については、 さらに土砂切土箇所と岩切土箇所 ( 風化防止 ) の2つのパターンに
分けられて、標準図が記載されています。
参考にしてはいかがでしょう。

Q25 「背水区間の特例」の適用について(橋梁桁下高)

河川管理施設等構造令316頁〜318頁に背水区間の特例がある。 今回、水門+ポンプ排水で合流
点洪水処理を行う河川があり、堤防高を現況堤防高や堤内地盤高を考慮した高さに設定、計画高水
位は本川計画高水位より低いが水門閉鎖後の内水貯留を考慮し自己流水位より高く設定し内水貯
留容量を確保している (本川H.W.L10.6m、支川堤防高9.0m、支川H.W.L8.2m) 。
計画高水位が内水貯留水位8.2mである区間の洪水時は構造令図8.26と同様な状況と思われるが当
区間の桁下高を上記背水区間の特例を準用 (水門閉鎖後の内水貯留計画高水位と支川自己流の計
画高水位に余裕高を加えた値の高い方) して設定しても問題ないか?それとも桁下高は計画堤防高
以上 (8.2m+余裕高) とすべきでしょうか?

A25 改訂 「解説・河川管理施設等構造令」 214頁によれば 「支川の背水区間では、高潮区間が海(高潮)
の影響を受けるのと同様に、本川の水位の影響を受けるので、計画高水位は、本川の計画高水位以
上の高さに設定している。従って、一般的には、支川の洪水流下に対しては、十分流下能力に余裕が
あり、ゲートの下端の高さ (橋の桁下高等を含む) を計画高水位に合わせても支障はない。」 としてい
ます。
従って同解説316頁から318頁の背水区間の特例は、流下能力上十分に余裕がある場合の規程であ
り、ご質問のような「水門閉鎖後の内水貯留」の場合は、該当しないと考えられます。

このようなことから、ご質問の橋梁の桁下高は支川の計画堤防高以上 (支川H.W.L8.2m+余裕高) と
することが良いのではないかと考えます。

ご質問の内容から考えられる範囲でお答えしましたが、実際の計画策定に際しては詳細な諸元をもっ
て、然るべき機関に具体的な相談をされることをお勧めします。

Q24 場所打ち杭の増杭について

当杭は、杭径1m、杭長37m、杭本数9本(3×3)、中心間隔:橋軸方向2.5m、橋軸直角方向2.75mの
場所打ち杭です。橋軸直角方向の前列2本が施工済みで、前列真ん中の施工中に鉄筋籠が1.3m脱
落し、この状態のまま生コンを打設した。
当杭は健全な状態と判断できないため、増杭の検討を行うこととなった。
そこで1点目として、増杭の配列について、当初設計フーチング内で検討する場合、中心間隔2.5Dが
確保できないことから、群杭を考慮した設計が必要と思われますが、この場合、増杭はどこに配置
(千鳥配置、最小離隔等)すればよいか。
2点目として、フーチングを拡げるとした場合、制約条件として、橋軸直角方向については用地上の制
約、橋軸方向については後列がJRと近接しているため、その影響を考慮し固定したいと考えておりま
す。従って、前列および真ん中の列の橋軸方向の移動は可能です。
この場合、増杭等の最適な位置はどうか。
3点目として、安定計算において水平地盤反力係数は不良杭を無視して一様な地盤としてもよいでし
ょうか。
また、その他留意点がありましたらご教示ください。

A24 ご質問からは、詳細な現場条件が明確ではありませんが、ご質問の範囲内で一般的に考えられる案
を考えてみました。
最初に杭配置についてですが、ご指摘の制約条件を考慮すると、杭配置は以下の3ケースが考えられ
ると思います。

ケース1 : 当初設計フーチング内で中央列の杭配1列×3本を2列×2本=4本とする案
ケース2 : 当初設計フーチング内で、不良杭と同じ位置にひとまわり大きい径の鋼管杭など
       (例えば杭径1500mm)を打設する案
ケース3 : 橋軸方向にフーチングを拡げて、増し杭を行う案






次に、これらの杭配置案の問題点と注意すべき事項を記述します。

ケース1 : 不良杭は設計上考慮できないため、杭配置が橋軸方向に対象配置とならない。
       最外縁の杭が2本となるため、杭の支持力、断面力、及びフーチングの照査が必要となる。
       杭の断面力は杭本数が総数で1本増加していることから大きな問題とはならないと思われ
       るが、支持力については許容値を超過する可能性がある。
       なお、杭配置図は杭間隔が2.0mとなるので、検討に当たっては群杭としての配慮が必要
       である。また、杭の打設順序にも配慮することが望ましい。
ケース2 : 杭径、杭種の異なる基礎となるため、鋼管杭については群杭への配慮が必要である。
       ケース1と同様に杭基礎としての再設計が必要である。また、杭反力が当初設計から変化
       するため、フーチングの断面力照査も必要となる。鋼管杭の施工は回転工法を用いて沈設
       し、鉛直支持力確保のために、最終打撃が必要である (地盤条件が不明のため、打設の
       可能性については不問 )。
ケース3 : 2.5Dの杭間隔を確保すれば、群杭としての配慮は必要ない。増し杭は設計上1本で可で
       あるとしても、杭配置上はバランスを考慮して2本以上が望ましい。 なお、当然フーチング
       の照査は必要となる。図−3の配置は2.5Dを確保した場合を示す。

なお、安定計算においては不良杭を無視して、一様な地盤として解析することは、実務上やむをえな
いと思われます。

以上、ご質問の範囲内で考えられる杭配置等について詳細な現地条件が不明なまま幾つかのケー
ス素案を記述しましたが、実施に際しては現場条件等を十分に調査・検討し、発注者として他の案も
含めて適切で実施可能な杭配置等を検討し、別途杭基礎としての詳細な設計をされることをお勧めし
ます。

Q23 電柱と水路破損の因果関係について

水路げた(官地)に電柱(占用物件)が建柱されており、その電柱付近の水路が破損した場合、この電
柱との因果関係を調べるのは水路管理者なのか電柱管理者なのか教えていただけませんか。

A23 水路敷に電柱が占用しているケースとしてお答えします。
電柱が水路敷を占用しているとのことですので、まず最初に電柱の占用許可条件を再読する必要があ
ると考えます。当該ケースのような場合の規定があれば、それに従い処理することになります。
占用の許可条件に記載がない場合には、以下のように処理してはどうかと考えます。
占用者と共に現地を良く観察し、現状から電柱の影響により水路が破損したことが明らかであると考え
られる場合には、占用者に原因の解明と対策を要請してはどうでしょう。
現状からだけでは水路の破損が電柱の影響によるものか又は他の原因によるものか明らかではない
場合には、水路管理者として水路破損の原因を詳細に調査検討し、原因が電柱にあった時には占用
者に調査結果を説明し対策を求めるとともに、原因解明のために支出した費用の負担についても協議
してはどうかと考えます。

Q22 防火水槽の積算(諸経費の求め方)

防火水槽(FRP製)設置工事の発注にあたり、直接工事費の大半を占める工場製品の単価および運搬
費に、経費(共通仮設費・現場管理費・一般管理費)をどう掛けたら良いものか。

A22 「国土交通省土木工事積算基準」によれば、共通仮設費は工種区分によって所定の率で計算する額
と積み上げ計算による額を加算して算定するとなっています。
このうち、率計算による額は、対象額ごとに求めた率に当該対象額を乗じて得た額の範囲以内とする
となっており、この対象額に、簡易組立式橋梁、PC橋、門扉、ポンプ、グレーチング床版、大型遊具
(設計製作品)、光ケーブルの購入費については、含めないとしています。
ご質問の防火水槽(FRP製)については一般的には上記例示品と同様の製品と考えられ、共通仮設
費の率計算の対象額に含まれないと思慮されます。
現場管理費については直接工事費と上記共通仮設費を加算した純工事費に所定の現場管理費率を
掛けた額以内、一般管理費については当該純工事費と現場管理費を加算した工事原価に所定の一
般管理費等率を掛けた額以内となると考えられます。
なお、今回は「国土交通省土木工事積算基準」を参照しましたが、県においても地方の特性を踏まえ
た積算基準を策定していると思われますので、FRP製防火水槽の設置歩掛が県で策定されていない
か確認すると共に、県で歩掛が制定されていない場合においても製品説明書や見積もり等により施
工方法や歩掛等を確認のうえ、発注者として間接工事費の考え方を決定されるようお勧めします。

Q21 景観設計委託の歩掛りについて

本市では、現在鉄道の高架事業・土地区画整理事業・中心市街地活性化事業が行われております。
中心市街地の幹線道路(W=36m)から、高架事業中の駅を経て、土地区画整理事業で整備予定の
シンボルロード(W=100m)にかけてを都心軸として、この都心軸の設計は、駅前広場と道路を個別
に計画・設計するのではなく、隣接する民有空間も含め一体としてデザインするトータルデザインとして
の計画・設計を考えています。
設計委託費算出に際し、測量・道路設計等については国土交通省の標準歩掛りがありますが、駅前
広場設計及び広場や道路の景観設計については歩掛りを見つけることが出来ません。
駅前広場設計及び広場や道路の景観設計の歩掛りについて教えて頂きたい。

A21 ご質問から設計業務の内容は、中心市街地の幹線道路から土地区画整理事業予定地のシンボルロ
ードにかけての広幅員道路を都市軸として、高架事業中の駅の駅前広場・隣接する民有空間更には
道路の景観等を含め一体として地域計画を策定するものと推察します。
こうした広範囲かつ高度な知識と豊かな経験を必要とする業務については、プロポーザル方式若しく
は総合評価方式により特定テーマに関する技術提案と当該業務の実施方針の提出を求め、技術的
に最適な者を特定して実施することが適切と考えられます。
プロポーザル方式若しくは総合評価方式においては、予定技術者の経験及び能力・実施方針・特定
テーマに対する技術提案等の他、参考見積もりも評価項目とされます。
なお、駅前広場や道路の景観設計を個別に発注するとした場合には、駅前広場の設計歩掛りについ
ては駅前広場の規模や内容に応じて、サービスエリアやパーキングエリアなどの道路休憩施設の設
計歩掛りを修正して使用することも考えられ、また、駅前広場や道路景観設計の規模や内容の概略
を示し、見積もりを提出してもらうことも考えてみる必要があるかもしれません。
いずれにしても、発注業務内容を具体的に詰め、発注者として業務内容に適した発注方式と発注見
積の方法を決定することをお勧めします。

Q20 鉄筋の付着応力について

RC構造物を施工する際に、鉄筋が長期間大気に触れる状態が続くため、鉄筋コンクリート棒鋼用防錆
剤を使用したいと考えています。
コンクリートの圧縮強度は30N/mm2、鉄筋は異形棒鋼D25、試験方法はJSCE-G503に基づいています。
すべり量が0.002Dに達したときの荷重は1.8N/mm2以上であり、防錆剤未使用と比較したら、10%〜
40%の低減、最大荷重は1%〜10%の低減でした。
試験結果は「鉄筋とコンクリートの許容付着応力度」である1.8N/mm2を超えているため、
 @ 構造計算(鉄筋の定着長等)再検討の必要性、
 A 付着割裂破壊は起きやすくなるか。 さらに、
 B 許容付着応力度1.8N/mm2以上とは、 どのような試験、 どのような考えで決定しているのでしょ
   うか。

A20 ご質問が専門的なため、独立行政法人土木研究所基礎材料チームに検討を依頼しました。
検討結果は、以下のとおりです。

ご質問の中では、検討されている構造物・部材の種類や適用する設計規準が明確でないため、一般
論として回答します。詳しくは、適用する設計規準等の記述をご確認いただければと思います。
さて、結論から申し上げますと、許容付着応力度は、一般的な設計・施工方法を想定した上で、構造
物の安全性を確保するために定められた経験的な数値であり、通常よりも付着力が著しく低下するよ
うな設計・施工方法を採用する場合にJSCE-G503のような試験を行っても、その適否は評価できない
ものと考えられます。また、通常よりも付着力が著しく低下するような設計・施工方法を採用する場合
には、照査の前提がゆらぎますので、通常の設計・施工方法を暗黙に仮定している照査方法を流用
できない点に注意が必要です。以下に、その理由を述べます。

例えば、道路橋示方書Vコンクリート橋編では、設計基準強度が30N/mm2のコンクリートの許容付着
応力度を1.8N/mm2とする旨記載がありますが、その根拠を追っていきますと、昭和42年度改訂の土
木学会の鉄筋コンクリート標準示方書(設計基準強度300kg/cm2で許容付着応力度18kg/cm2)まで
さかのぼります。なお、これ以前の昭和31年度版では、設計基準強度300kg/cm2のコンクリートにつ
いては、数値が示されていませんでした。
昭和42年度改訂の土木学会標準示方書の解説を見ると、以下の記述があります。

 「鉄筋コンクリート部材を設計するときに用いる許容応力度は、主として各種応力にたいするコンクリ
 ートおよび鉄筋の強度、その他の性質をもととして荷重状態に応じてこれを定めるが、設計計算上の
 仮定、構造細目、施工方法、構造物の種類、重要さ、部材の構造物における重要さの程度、等も考
 えて定めなければならない。また、部材が破壊に対して安全であるばかりでなく、設計荷重をうけた
 ときの変形およびひびわれなども考慮しなければならない。
 この章に規定した許容応力度は、これらのことを考えて一般の標準値を示したものであり。この示方
 書に示してある設計方法および施工方法に従ってつくられた鉄筋コンクリート構造物に適用できるも
 ので、この章に与えてある許容応力度とこの示方書の他の条項とは密接な関係をもつものである。
 以下略)」

一方、JSCE-G503は、許容付着応力度の成立よりも新しく、1988年に案が示された試験規準で、試
験結果の評価については範囲に含まれていません。また、2007年度制定の土木学会コンクリート標
準示方書 [設計編] では、式(5.2.2)として、コンクリートの圧縮強度の特性値から付着強度を評価す
る式が示されており、この付着強度を基に鉄筋の基本定着長(13.6.3節)を定めていますが、JSCE-G
503の試験結果を用いて、定着長等を定める方法は、当方が確認した範囲では示されていませんでし
た。すなわち、JSCE-G503の試験結果の解釈や設計への反映方法について明確になっておりません。

また、前述の土木学会S41年標準示方書では、鉄筋とコンクリートの付着性状は、鉄筋の定着または
継手における場合と、曲げ部材におけるせん断力による場合とで性質が異なるなど、種々の要因で影
響されることが示されています。このことから、JSCE-G503のように理想的な供試体製作応力状態の
環境で実施した試験結果のみを根拠に、既存の照査システムの一部を修正して用いることは困難と考えられます。

Q19 コンクリートのひび割れについて

橋梁下部の橋台工(RC構造物)を施工中のことです。
4回打設のうち、1回目打設面天端の鉄筋が配置されている位置にひび割れが発生しました。
このひび割れが発生した面は継目であり、上部に続いてコンクリートを打設するため外部に出ることは
ありません。
このような場合、@ひび割れが発生した原因、A補修の必要性と補修方法、について教えてください。

A19 ご質問のひび割れについては一般的には乾燥収縮による表面ひび割れと考えられますが、ひび割れ
の詳細が不明ですので断定は出来ません。乾燥収縮が原因とすればコンクリート打設後の養生が適
切であったかの検討が必要となると思われます。

グリーンカット等によるレイタンス除去によりひび割れが消滅する可能性も考えられますが、文面だけ
からではひび割れの大きさ等も明らかではありませんので、専門の部署と共にひび割れの具体的状
況を現地で確認の上、対応策について検討されることをお勧めします。
なお、不適切な養生が原因としますと2回目のコンクリート打設においても同様な現象が起きる可能
性がありますので養生の方法を再点検することが必要かもしれません。

いずれにしても、コンクリート構造物の打ち継ぎ目は一般的に構造物の弱点になりやすいことから、
十分な打ち継ぎ目処理を行うようお勧めします。

Q18 防災行政用無線(同報系)屋外拡声子局の避雷針からアース銅板までの施工について

当市では現在防災行政用無線の整備を進めております。 完成の形状は地上15mで、3本の鋼管
をボルトで締めて繋いでおります。
設計では、 最上部 (避雷針から約1m下部) と最下部 (G.Lから約2m上部) に接続端子を設けて
(接続端子付の鋼管柱を工場で製作) おります。
避雷の経路は、避雷針→避雷導線 (鬼より線40SQ) →上部の接続端子→鋼管柱 (柱体を銅線と
見立てる) →下部の接続端子→避雷導線→アース銅板 (地中) です。
その中の各々の接続端子と避雷導線の接続についてお尋ねいたします。
この避雷導線と柱体との接続について、接続端子のない鋼管柱の足場を受け口にして、足場の根
元に共締めする方法を施工業者が選択してまいりました。
この工法について、設計、施工、安全、保守等の面から問題がないのか、また、問題がないのであ
れば、その根拠となる基準等をご教授願います。

A18 ご質問の 「避雷導線と柱体とを足場の根本で共締めする方法」 については、次の2つの観点から
の検討が必要かと思われます。
1点目が、 「設計では工場で最上部と最下部に接続端子を設けた鋼管柱を製作することになって
いる」とのことですが、 「どのような事情で接続端子のない鋼管柱が納入されることになったのか」
ということです。
発注者との事前の協議があったと考えられますが、 協議時の打ち合わせで何らかの結論が出て
いると推察されますので、 その内容をご覧になることをお勧めします。
2点目として、何らかの原因で今回新たに判断するとした場合については、日本工業規格 「JIS A
4201建築物等の雷保護 」 の 「規格2.4 取付け及び接続部 」 及び 「規格2.5 材料 」 等の基準を
参考に判断されてはどうかと思われますが、 最初に施工業者の説明をお聞きになることが必要と
考えます。 参考までに 「規格2.4 取付け及び接続部」 と 「規格2.5 材料及び寸法」 の規程を記述
します。


 2.4 取付け及び接続部

 2.4.1 取付け   電気的応力又は不測の外力によって、導体の断線又は緩みが生じないように受雷部
           及び引下げ導線を堅固に取付けなければならない。
 2.4.2 接続部   導体の接続部の箇所数は、最小限にとどめなければならない。
           接続は、黄銅ろう付け、溶接、圧着、ねじ締め、ボルト締めなどの方法によって確実に
           行わなければならない。



 2.5 材料及び寸法

 2.5.1 材料    使用材料は、雷電流による電気的及び電磁気的影響並びに予想される機械的ストレ
           スに対し、損傷を受けないものでなければならない。
           使用する材料及び寸法は、被保護建築物等又は雷保護システムに腐食が発生する
           恐れのあることを考慮して選定しなければならない。
           雷保護システムの部材は、導電性及び耐食性が十分であれば、表4に示す材料で
           製作することができる。
           これ以外の金属材料は、これらと同等の機械的、電気的及び科学的(腐食)特性を
           もつ場合に使用することができる。  (以下省略)


以上、ご質問の文面から読みとれる内容について記述しましたが、工事目的や安全性確保につい
て十分考慮のうえ行政として判断されることをお勧めします。

Q17 1バレルとはどこからどこまでのことでしょうか

初歩的な質問で申し訳ありません。
土地改良事業計画設計基準設計 「水路工」 基準書、同技術書 (平成13年2月 農林水産省農村振
興局) の348頁に収縮継目の設置間隔として1バレルの長さが記載されていますが、この"バレル"と
はどこからどこまでのことでしょうか。ご教示願います。

A17 土地改良事業計画設計基準・設計 「水路工」 348頁の(9)継目のA収縮継目の項 「収縮継目は、1
バレルの長さを9〜12mとしてバレル間の接着や・・・ 」 に表記されている 「バレル」 については、区
切りと区切りの間との意味として使われています。
即ち、 収縮継目と収縮継目の間を表していると考えられます。
なお、 詳細については中国四国農政局土地改良技術事務所に問い合わせされることをお勧めいたし
ます。

Q16 頂版と側版の三面からなるラーメン構造物の、H鋼杭基礎を使用したコンクリート基礎について

@ コンクリート基礎の杭反力は上向きに作用するのではないか
A 主鉄筋は上側に配置するのが妥当ではないのか
B 杭の埋め込み長は、どの程度で施工すればよいか

A16 ご質問の各項目については、設計者の考え等を良く確認する必要があると考えられますが、ごく大雑
把な感想を、記載します。
@ について
   この基礎コンクリートは、杭を支点とした連続梁モデルと考えられることから、引っ張り応力が上
   下に現れるので、荷重方向は上下どちらと考えても差し支えない(作用力と反力)と思われます。
A について
   上記@により、引っ張り応力が上下にでると考えられることから、主鉄筋は基本的には上下に必
   要と思われます。
   ただし、本構造では厚さが20cmと薄いことから、結果として上下の鉄筋が中央に一緒に配置され
   ているとも考えられます。
   応力的に、引っ張り応力を鉄筋で、圧縮応力をコンクリートで持てれば設計上は可とも考えられま
   す。(厚さが30cmあれば、上下に配筋可能か)
B について
   道路橋示方書・下部構造編では、方法Bにおいては補強鉄筋を使用した上で最小埋め込み長が
   10cmとなっていることから、少しすくないように感じられますが、水平力がかからなければ持つの
   かもしれません。
以上が、ご質問の大要をみての感想です。
実際の対応に当たっては、土質条件・荷重条件・近隣環境さらには設計上の考えなど総合的に斟酌
の上、管理者として判断されることをお勧めします。

Q15 舗装路盤の現場密度の測定方法について

舗装路盤の現場密度の測定方法は、@舗装試験法便覧による突砂法と AJIS A 1214による注砂法、
の2通りがあります。 旧建設省系機関の品質管理基準では @による方法、 農林水産省、 旧運輸省
系では Aの方法を指定しているケースが多いようです。 何故、 監督省庁により異なる方法が指定さ
れているのかご教示願います。 また、@, Aの双方を品質管理の指定試験方法とした場合、 何か問
題があるのかどうかご教示願います。

A15 現場密度の測定法について、 @ 「舗装試験法便覧」 (以下、便覧という) によるの突砂法は(社)日
本道路協会が定めた道路路床の現場密度測定法であり、 A JIS A 1214 による注砂法は(財)日本
規格協会により認証された原位置の土の密度測定法で、 原案の作成は(社)地盤工学会が行ったも
のです。
上記の便覧によれば@は路床の締固め度合いを知るものとされており、 Aの方法は、 複雑な形の穴
では @よりも穴の隅々まで砂が回らず、 砂で置換される穴の体積が小さく測定されるため、 現場密
度は @の方法より大きな値になる傾向があるとされています。 また、 Aの規格概要には "規定する
方法を用いて試験を行うことが出来る範囲は最大粒径が5.3p以下の土に限る" と記述されています。
したがって、 試験方法を指定する場合、 ア)道路路床における試験なのか、 イ)現場の土の試験なの
か等の目的および現地の粒径を勘案して選択することが大切であると考えます。
なお、 当方ではご質問にある 「農林水産省、 旧運輸省系ではAの方法を指定しているケースが多い
ようです。」 との記述については確認出来なかったことから、 ご質問の 「何故、監督官庁・・・」 のこと
については回答を控えることとします。

Q14 擁壁設計における受動土圧の考え方について

 既存水路沿いに造成工事により擁壁を設計する場合、受動土圧はいかにして考慮すれば良いのか
教示ください。
宅地造成許可を伴う工事で「宅地造成等規制法」に則り擁壁の設計をする場合、受動土圧は考慮せ
設計するのが原則かと思いますが、下図にあるような恒久的築造物(公共水路)があり、明らかに一
定の拘束力は認められる場合、擁壁設計における滑動の検討において、どう反映させるべきか。
原則どおりで設計する予定ですが、過大設計ではないかという気もします。


A14  宅地造成に伴い擁壁を築造する場合の技術的基準については、「宅地造成等規制法施行令」(以下
「施行令」という。)第二章 宅地造成に関する工事の技術的基準のなかで第五条〜第八条に定められ
ています。「施行令」の当該条文には受動土圧に関する記述はありませんが、ご質問の記述にあると
おり、擁壁の設計にあたっては、一般的には基礎前面の受動土圧は考慮しないこととしています。
なお、道路土工−擁壁工指針(平成11年3月(社)日本道路協会)(以下「指針」という。)でも"受動土圧
は無視するのが一般的"とされています。
 この理由としては、@一般的に基礎工事等の掘削のために擁壁の基礎前面の土が乱され、受動土
圧としては不安定であること、A「指針」では、図面のような水路等が設けられている場合の擁壁の根
入れ深さは、水路底面の洗掘・低下を考慮し水路底より30p以上確保すべきとされていること、B水
路構造物が破損した場合等に、擁壁の安定性も損なわれる虞があり、造成地の崩壊に繋がりかねな
いこと等が考えられます。
以上のことから、ご質問のことについては、受動土圧は考慮せず設計することが適切でしょう。

Q13 仮締切工の施工時期と期間について

 私は基本的には出水期間の仮締切工は避けるべきであり、止得ない場合には本設構造物と同様な
安全性を河川構造令に準じるべきと考えております。
 この考え方は「仮設計画ガイドブック(T)」([企画](財)日本建設情報総合センター [発行]全日本建
設技術協会 平成13年9月)のP.27〜28にも同様な記述がありますが、実際はかなり適用が緩い
(出水期でも非洪水期と同様な施工を行なっている)と考えています。
 この「仮締切工の施工期間は非出水期である」ことが明確に規定されている基準・法律はないもの
でしょうか?ご教示下さい。
 また、「河川管理施設等構造令」上ではどのようになっているのでしょうか?

A13  「仮締切工の施工期間は非出水期である」ことが明確に規定されている基準・法律はないものかと
のことについては、結論的にいえば明確に規定されている基準・法律はありません。
 また、「河川管理施設等構造令」上では、第73条(適用除外)において、"この政令の規定は次に掲
げる河川管理施設または許可工作物については適用しない。"として、"3.工事を施工するために仮に
設けられる河川管理施設等"を掲げています。したがって、ご質問のことについては「河川管理施設等
構造令」は適用されないこととなります。
 なお、前記の図書(「仮設計画ガイドブック(T)」(本会発行))P.27〜28に記述のとおり"仮締切工に
関する検討事項"として"土留工に関する項目に加えて1)施工時期と期間に関すること、2)気象条件・
水位等に関することについて事前調査および検討を行うものとする。"とされ、これらの項目について解
説がなされているので、このことは確実に遵守・実施するべきであると考えます。

Q12 建築物の室内仮設足場の積算について

 階高が約8.4mの部屋及び4.2mの部屋の天井面・壁面に施工されたアスベスト吹き付け材を撤去
するにあたり、棚足場(内部足場)を施工したいのですが見積もり方法がわかりません。
以下のことについて教示お願いします。
@壁面はありますが、床面積単価でよいのでしょうか。
 あるいは壁面の架面積と床面積の合算でしょうか。
A架面積を出す場合、壁面から1m後退させた寸法で拾うのでしょうか。
 例えば間口が2m以内の部屋の場合はどうなるのでしょうか。

A12  公共建築の工事標準歩掛り等については、市で使用する技術基準が定められているものと思いま
すが、ここでは、地方公共団体等でも広く活用されている国土交通省 大臣官房 官庁営繕部制定の
技術基準にある「公共建築工事積算基準」及び「公共建築数量積算基準」に沿って以下に述べます。
この技術基準によると、内部仕上足場(階高4m以上は枠組棚足場)の「数量」は、床面積とし、1m2
当たりの「歩掛り」は、階高に応じ8.4mの場合は7.4m以上〜9.1m未満、 4.2mの場合は4.0m以上〜5.0m未満の歩掛り表により積算をすることとなります。
 このことから、ご質問にある壁面分はこの中に含まれており、架面積で積算することはありません。
 また、国土交通省 大臣官房官庁営繕部制定の技術基準等の詳細については国土交通省のホー
ムページ http://www.mlit.go.jp/gobuild/index.htmlの関係箇所を参照してください。
 なお、以上のことと直接関係はありませんが、アスベスト吹き付け材撤去にあたっては、床にビニー
ルシート養生を施すため一般的な棚足場が不適切な場合があるので、現場条件に合った設計とする
ことに留意してください。

Q11 下水道設計委託の成果品照査要領について

 下水道設計委託の完了時に照査する項目及び内容についての一覧を教えていただきたい。
 道路設計、港湾設計等は入手出来ましたが、下水道について教えてください。
  (例) 管渠の断面決定の根拠は正しいか。
      推進工の選定は土質条件に適合しているか。
      薬液注入の必要性、選定は正しいか。

A11  結論的には、自治体等の発注者側で下水道設計委託の完了時に照査する項目や内容等について、
共通的に記載され、利用できる文書等は現在ありません。
 現時点では、自治体等が設計委託を発注する際に、設計書の特記仕様書の中に照査に関する条項
を明記して受注者に照査を義務付けるとともに、その際、設計の内容に応じ照査項目の詳細について
列記する事例等が見受けられます。その上で、発注者は設計完了時の成果品検査時に、受注者側に
おいて照査がなされているかを確認する方式が一般的のようです。
 なお、平成13年に"下水道の構造の技術上の基準"が改訂されていることに留意が必要ですが、下
水道の照査に関する図書として下記がありますので、設計委託完了時の照査項目等を決定する場合
の参考にしてください。
  ○「下水道計画設計・管渠設計・施設設計 チェック&レビューリスト一覧表」
   平成11年9月 (社)全国上下水道コンサルタント協会  *主な照査項目が列記されています。
  ○「改訂版 下水道管きょ設計・積算チェックリスト」
   2000年10月  近代図書(株)   *上記に比べ、照査項目と解説が細かく記載されています。

Q10 街路の側溝基礎の断面構成について

 現在、都市計画道路(区画整理地内)について設計を行っているところですが、道路断面の側溝下部
について、路盤材を敷設(材料は、車道本線と同じ)するか、あるいは基礎砕石のみとするか決まってい
ません。
 通常の幅員6m道路の標準断面などでは、当然敷設しないところですが、本街路は地区内幹線道路
に位置付けられており、不特定多数の重車両の往来、または横断が見込まれるところであり、沈下等
を防止する意味でも安全性をみて敷設したほうがよいのではないかといった意見があります。
また、U字溝をL字側溝に変えたパターンなどでは、知る限り全て下部に路盤を敷設したパターンであっ
たことも一因としてあります。
 いろいろ調べてみたのですが、これといった結論が導き出せません。
そこで、国土交通省の標準設計その他などから、何か根拠として適切なものがあればご教示ください。

A10  結論的には、本件のような問題に関して明確に根拠を示した基準等はありません。
 通常、道路(街路)設計では道路側溝の上には輪荷重は乗らないものと想定しています。重車両が横
断する等のケースは特殊事例扱いとはいえ間々発生するものの、多くの場合、臨機に応じ設計・施工
がなされているのが実情の様です。また、路床・路盤と側溝築造を同時に実施する場合、現場での施工
性から、"施工承認"を受け道路の車道本体の路盤、路床構造を側溝下部まで同じとする事例も見受けられます。
 なお、本件の場合、対応策として、重交通の横断等があることを設計上の条件とし、耐力、施工性、経
済性等を含め総合的に検討することも一つの方法でしょう。

 Q9 舗装構成決定基準について

 舗装構成を決定する上で、ライフサイクルコストを加味し検討しなければならないが、現実はTA値に
より舗装構成を検討することが多いと思います。
 質問内容は、必要TA値から得られる断面を検討し、各断面の工事費を比較し低コストの舗装構成を
採用することになりますが、上層路盤厚が下層路盤厚より厚い断面が低コストとなります。
下層路盤より上層路盤が厚い舗装構成で問題はありませんか。
 また、上層・下層各層の路盤厚を決定する基準等があればご教示願いたい。
 なお、「舗装設計施工指針」には、従来用いられていた実績のある断面を参考として、必要TAを下回
らない舗装構成を定める。また、路盤各層の最小厚さが記載されております。
よろしくお願いいたします。

 A9  道路舗装の構造の決定は、平成13年策定の「舗装の構造に関する技術基準」(国土交通省 都市・
地域整備局長及び道路局長 平成13年6月29日)(以下「技術基準」という。)に基づいて行うこととなります。 この中で、舗装構成等の設計に関しては、基本的に性能設計の考え方となっています。
今回の場合も、この考え方を基本として設計されていることと思われますが、ご質問の
@ 「下層路盤より上層路盤が厚い舗装構成で問題はないか」については、
 アスファルト舗装は、本来、たわみ性舗装であり、理論的には、交通荷重を表層・基層から路盤・路床に順次分散させ、 バランスのとれた構造とするもので、表層・基層に硬い材料(合材)を使用し、上層・下層を柔らかい構造の砕石等の路盤として、 路床となじみをよくすることで必要な性能を実現させています。
 上層路盤厚が下層路盤厚より厚い断面が低コストとなる (再生粒度調整砕石を上層路盤材、再生クラッシャーランを下層に使用する ケース等で起こることがある) としても、上記の基本的な考え方からは"バランスのとれた構造"とは云い難く、 現に「舗装設計施工指針」(日本道路協会)(以下「指針」という。)P.194の表でも、このような事例の記載はありません。 したがって、上層路盤の厚さは、下層路盤より薄くするか、同じ厚さまでにしておくのがよいでしょう。
A 上層・下層各層の路盤厚を決定する基準等の有無については、
 前述の「指針」P.174の付表−4.1.5に路盤各層の最小厚が記載されているので、参考としてください。

 Q8 基準径間長における中小河川の緩和規定について

 河川管理施設等構造令のなかの橋梁の基準径間長の項目で中小河川の緩和規定がありますが、 解説に記述されている4つの条件を満たせば、原則的に緩和規定を適用してよろしいのでしょうか。

 A8  ご質問の中小河川の緩和規定については、構造令63条第2項に示すように計画高水流量が
2000m3/sec未満(構造令解説(以下、解説という)P.308〜309)の場合で、「令第63条第1項の基準
径間長では構造令を制定する以前の運用に比べて厳しくなりすぎるので、河川管理上著しい支障を
及ぼす恐れのないと認められるときは、令制定以前の考え方に準じることができる」とされています。
 解説では、「この緩和規定は非常に活用されがちであるが、みだりに適用するべきでない」と述べて
おり、この規定を適用できる場合については下記のとおり「4つの諸条件について十分留意されている
場合をいう」としています。
 したがって、実際の適用にあたっては、現地の状況及び他の諸条件も慎重に確かめた上で適用する
かどうかの判断をしてください。
 

 「 河川管理上著しい支障を及ぼす恐れのないと認められるとき」の4条件(解説P.310)
 @ 橋脚が河岸(低水路の河岸を含む)または堤防ののり先並びに低水路ののり肩から10m(計画
  高水流量が500m3/s未満の河川あっては5m)以上はなれていること。ただし、局所洗掘等の恐
  れに対し護岸の補強及び根固め工の設置など適切な措置が講ぜられている時はこの限りでない
  こと。
 A 橋脚の流心方向の長さが30m未満であること。
 B 橋脚は図(省略)に示すようなパイルベント形式以外のものとし、河積阻害率は5%以下であること。
 C 堤防の小段又は高水敷と橋桁との間とのクリアランスが2m未満の部分があるときは、それを無
  効河積としてもなお河道に必要な流下断面が確保されていること。
(出典:解説・河川管理施設等構造令((社)日本河川協会) 平成9年7月) 

 Q7 24時間雨量の定義について

 災害復旧事業の採択にあたって基準となる24時間雨量の定義を教えてください。
<鳥取県協会>
 A7  公共土木施設の災害復旧に関しては、災害復旧事業として採択される限度と範囲について関係法
規により制約されています。
 災害復旧事業の採択の可否は、「公共土木施設災害復旧事業国庫負担法」(以下「法」という。)
法施行令、法施行規則、および法事務取扱要綱によるほか、「公共土木施設災害復旧事業査定方針」
以下「方針」という。)によって行うことと定められています。
 お尋ねの、災害復旧事業の採択基準上の24時間雨量については、「方針」第3(二)において、「河川
以外の公共土木施設にあっては最大24時間雨量80ミリメートル以上の降雨より発生した災害、ただし
最大24時間雨量80ミリメートル未満の降雨により発生した災害であっても、時間雨量等が特に大であ
る場合を含む。」と記載(本会発行「平成16年度災害手帳」P.7およびP.452参照)されています。
ここで、最大24時間雨量とは日単位の最大雨量を示すものでなく、連続した24時間の雨量であることに留意する必要があります。
 なお、公共土木施設の災害復旧事業の進め方等に関しては、上記の本会出版図書、「平成16年災
害手帳」が参考になると思われますのでご利用ください。

 Q6 メタルロード工法(MR工法)の採用について

 地域高規格道路事業約4kmのうち、約90m区間において、擁壁比較検討を行っております。急峻
地形のため、EPS、FCB、発泡ウレタン、MRの4案から、MRが最も経済的で、工期も短く、安全性
も高いことがわかりました。しかし、同事業区間内で4年前に設計し、着工がまだである、ほぼ同条件
の箇所が数カ所あり、そこではメタルロードを比較案から削除していました。理由は、当時、実績が少
なく、レベル2地震設計方法が確立されていなかったからです。
 「事業全体の中で整合性がとれていない」と会検で指摘されるでしょうか?いくら着工がまだでも、当
時の適正な考え方で設計していれば、設計の見直しの必要はないと思います。
 今回MRを採用しないと税金の無駄使いだと思います。いかがでしょうか?
<奈良県協会>
 A6  "先に設計した個所についてはその結果で施工し、今回設計個所では、MR工法を採用した場合、
「事業全体の中で整合性がとれていない」と会計検査で指摘されるのではないか"と懸念されている
ことについては、「4年前の設計部分が未着工であれば、その区間全体についても、現時点で従前の
比較検討結果を改めて見直すことが必要であり、施工個所の条件をよく検討し、総合的に見て最適な
工法を選択するべきである」と考えます。
 なお、既に、検討済みのことかもしれませんが、工法の採用にあたっては、施工面のことのみならず、
将来的な維持管理面も考慮した工法の選定が大切と思われます。

 Q5 マンホールの腐食対策について

質問の内容: 下水道管渠の新設箇所において、マンホールの腐食対策についてお尋ねします。
1.組立MH+防食塗装とレジンMHのどちらが好ましいか
2.どちらが全国的に普及しているのか
3.その他の良い工法があるのか
<宮崎市協会>
 A5  マンホール(以下MHと略す)等の下水道管路施設の腐食対策は、第一に伏越の解消等の発生源対
策、次に施設の換気等腐食抑制、そしてライフサイクルコスト低減化に向けた防食を基本として対策を
講じることが重要です。これらのうち防食については、その環境に応じて適正な工法の選定が必要と
なることを踏まえ、以下にご質問の回答を述べます。

質問1.について
 組立MHは「下水道用資機材指定・登録」(日本下水道協会) U類に製品名が登録されており、製品
規格はそれぞれの製造者が規格を定めています。この組立MHに防食塗装を施すことについては、初
期コスト、ハンドリング面でメリットがあるものの耐久性に問題があります。また、レジンMHについては、
上記の「下水道用資機材指定・登録」においてJSWAS K−10で規格化されています。レジンMHの
特徴としては、標準的製品(0号〜3号MH)の場合、組立MHに比べ価格が割高であるものの、強度が
高く、そのうえ、軽量、薄肉部材の製造が可能であり、耐久性にも優れていることです。
 したがって、現段階では、前者は補修など短期的利用(10年程度)や特殊MHに、後者はライフサイク
ルを考慮して計画的に整備する場合に適していると言えます。但し、組立MHに耐用年数10年性能
の防食塗装を施した場合、同性能のレジンMHの製品単価は0.8〜1.5倍程度となる試算結果も
あるため、耐用年数の設定と経済性については施工条件を含め比較検討が必要と思われます。
なお、腐食環境条件に対応する計画・設計等については、日本下水道協会「下水道管路施設防食対

策の手引き(案)」(平成14年5月)が参考になります。
質問2.について
 組立MH+防食塗装の場合について一部メーカに問合せてみましたが、MH製造と防食塗装関連の
業界が別々で、かつ、数も多いため実態把握は困難とのことです。また、レジンMHについては、日本レ
ジン製品協会の調べによると、平成5年度の納入実績が37に対して平成15年度には803と年々増加
傾向にあり、この間の総計では2952となっています。

質問3.について
 下水道管路施設の防食対策は、そのメカニズムの実態把握に関する体系化の歴史が浅く、今後の
技術開発や研究に期待する部分が多いのが実情です。
 なお、最近、「下水道用耐食性鉄筋コンクリート管が「下水道用資機材指定・登録」のU類に類別指
定することが了承された」との報道(平成16年9月7日付・日本下水道新聞)があったことから、これが、
防菌及び抗菌材入り組立MHにも波及すると予想されるので、その動向については注目しておく必要
があると考えます。

 Q4 護岸工事における仮設除波工の天端高さの設定について

海岸を埋立て、道路を現状より海出しするために、直立護岸を海側に築造する工事を計画しております
(水中コンクリート基礎フーチングの上に重力式擁壁を築造する)。
 工事を行う際、消波ブロック等を利用して波を防ぎ、コンクリート打設・養生を行う必要があるのです
が、個人的に調査したところ、仮設除波工の天端高について記述されている文献がありません。
 何か参考になる文献等を教えてください。
<新潟県協会>
 A4  結論から言いますと、明確な記述はありません。
現場の条件(地形、水深、潮位、波高等)から検討・決定しなければなりません。
 参考文献としまして(直接ではありませんが)、
  @(社)日本港湾協会 (運輸省港湾局監修)「港湾の施設の技術上の基礎・同解説」
    平成11年4月 の下巻
  A(株)テトラ 「テトラポッド設計要領」
がございます。
  ※Aは、考え方の参考になるのではないかと思います。

[追記]上記について、以下の参考意見をいただきましたので追記します。
 @この内容は、仮設でありますが、「離岸堤(透過堤)」の設計である。
 A設計基準・文献は、「海岸保全施設築造基準解説」 なお、質問に答える具体的な記述がない。
 B参考文献は、「テトラポッド設計要領」の「離岸堤」が参考になると思います。
  具体的に仮設波除工の設計にあたっては、対象設計波の算定、仮設波除提背後の減衰波高の
  設定をする。その伝達率(減衰率又は透過率)となる離岸堤(天端幅、天端高さ、ブロック重量等)を
  設計することとなります。
  「テトラポッド設計要領」では、離岸堤の天端幅(高さが同じ)を変えた波高伝達率の算定式、及び
  天端高さを変えた波高伝達率の算定図表が掲載されていますので参考になると思います。

 Q3 シールド工事の二次覆工について

シールド工事の二次覆工に使用するコンクリート設計強度の決定方法についてご教示下さい。
<千葉市協会>
 A3 シールド工法の調査・設計から施工まで((社)地盤工学会)に二次覆工について以下のように記述し
ています。また、鉄道構造物等設計標準・同解説シールドトンネル((財)鉄道総合技術研究所)にも
同様なことが記述されています。

出典:シールド工法の調査・設計から施工まで((社)地盤工学会

 Q2 ブロック積擁壁の近接施工について

既設ブロック積み(1:0.4、H=3000、背面盛土ナシ)の前面に構造物(工場)を建設します。ブロック積み
の基礎根入れが約H=700程度であり、基礎前面が官民境界です。構造物(工場)の基礎掘削もブロッ
ク積みの基礎と同程度の深さです。ブロック積の滑動等、留意すべき事項を教えて下さい。
Q&Aサンプル
 A2 ブロック積みの基礎部分の地盤の状況等不明ですが、基礎部分の影響範囲を十分考慮し一般的には
2m程度以上は離し施工するのが望ましいでしょう。
地盤の状況によっては鋼矢板を施工時に用いて構造物(工場)の基礎掘削時にブロックの基礎が影響
を受けないように配慮する等の検討も必要かと考えます。
滑動にも配慮が必要ですが、ブロック積みであれば、近接施工なので施工時の振動に関しても配慮が
必要であると考えられます。

 Q1 ボックスカルバート設計時の留意点

ボックスカルバートを設計時にやむを得ず低土かぶりとなる場合の留意点を教えて下さい。
Q&Aサンプル
 A1  道路土工−カルバート工指針((社)日本道路協会)によると、「土かぶりが小さい場合には、裏込め
土の沈下などにより 舗装面に不陸を生じることがあるので、50cm程度以上の土かぶりが得られるよう
に、最初から計画しておくことが望ましい」とされています。
 ご質問のように、何らかの理由により、低土かぶり下にボックスカルバートを設ける場合の留意点は
以下のとおりです。
 (1) 舗装面の不陸を防止するための処置として、踏掛版の設置を検討するのが望ましい。
 (2) 低土かぶり下では温度変化の周期的変化による影響が無視できない場合もあるので、横方向
    の設計に際しては温度変化の影響を考慮するのが望ましい。
 (3) 特に大型車交通量が多い場合、頂版にはひび割れ発生の危険が増大(活荷重による発生応
    力の変動幅が大きいこと、繰り返し荷 重の頻度が高いことなど)することも予想されるので、頂
    版部における鉄筋の許容引張応力度を低めに抑えるのが望ましい。