■技術資格試験合格体験記

  自己研鑽のために技術士の取得を

 〔取得した資格〕
  技術士(建設部門:都市及び地方計画)
 〔資格取得年度〕
  平成30年度


淺見 知秀(あざみ ともひで)
小山市 都市整備部 部長
  1.受験の動機・経緯
 技術士を目指すきっかけは、前職の鉄道会社時代まで遡ります。制度の詳細は割愛しますが、 鉄道分野では、鉄道施設の設計確認の責任者である設計管理者の要件に「技術士」があり、土 木系職員は、技術士を目指し、それぞれの専門分野で高い技術力をもって日々研鑽していました。
 このため、技術士は技術者として一人前の証、土木施設に係る調査・設計・施工を監理する身として、 必要なものと強く認識し、取得を志しました。
 現在、職場・分野は違いますが、土木技術者として、上記の志は変わりません。また都市分野では、 技術士法第47条の2「技術士の資質向上の責務」が特に重要だと思います。都市の課題、政策は時代の変遷とともに変化します。 論文問題もその時期の重要なテーマが課題になることが多いようです。例えば、近年では立地適正化計画、都市のスポンジ化、街路空間再構 築・利活用、Park-PFIなどでしょうか。このように更新される課題、政策をキャッチアップし、業務に活かすために、常に知識及び技能の 水準を向上させ、資質向上に努めることが重要となります。私の知る限り土木系公務員の業務に、技術士を要件とするものはありませんが、 自分の住むまちをより良くするため、自己研鑽のためにも、技術士の取得を目指しては如何でしょうか。

 2.筆記試験における傾向と対策
 2019年度の試験(新試験)から、試験方法が変わるようですので、私の受験した2017年 度試験(旧試験)で、参考になりそうなことを中心に記載します。
 旧試験では、筆記試験は、選択式(必須科目)と記述式(選択U、V)に分かれていましたが、 新試験では、すべてが記述式になるようです。
 旧試験では、技術部門全般にわたる専門知識は、選択式で、国土交通白書から出題される傾向にありました。白書はじっくり読み込み内容 を覚えるのは困難と思いますので、私はスマホ、タブレットで読める状態にして、移動時間など、隙間の時間に読んでいました。新試験になり、 過去問がありませんので、考えられる対策は前述のように建設部門全般の専門知識の習得に努めることと、後述の記述式の対策だと思います。
 記述式では、2つの対策が必要です。1つは、出題される都市及び地方計画分野の専門知識を習得することです。キーワード(2018年度試 験は、線引き制度、LRT、地区計画など)の概要を問う設問と制度(2018年度試験は、市街地整備手法、立地適正化計画)の運用(応用 能力、問題解決能力、課題遂行能力)についての設問があります。知識習得については、実務で関わることが一番です。実務に関わっていない場合は、 都市計画関連の業界紙、毎年4月に行われる全国都市計画主管課長会議資料、HPに公表される制度改正資料などで、最新の情報を確認した上で、研修などを受講し、最近の動 向や基礎的な制度の知識習得に努めましょう。
 2つ目は、限られた時間、文字数で解答を簡潔に、まとめる力を鍛えることです。日々できる対策は、業務文書を短い時間、文字数でまとめることです。 技術士の先輩職員がいる場合は、過去問の解答を手書きで作成し、添削してもらうと良いと思います。手書きに慣れ、文字数と記述できる内容量の関係が摘めます。

 3.口頭試験における傾向と対策
 口頭試験で主に聞かれた内容は、申込書に記載した業務内容の詳細(技術士としての実務能力)と、3義務2責務(技術士として適格性)でした。 行った対策は、「業務内容の詳細」は、概要、役割、課題、自分の提案、成果(提出した内容も上記の構成)を簡潔に説明できるようにし、 業務の報告書を読み返しました。試験では、「課題に対して、自分はどうしたらよいと思うか」というような応用能力について問われましたが、 新試験では、試問事項が変更され、コミュニケーション、リーダーシップ、マネジメントについて聞かれるようです。 これらの切り口で自分の業務について説明できるよう準備することが必要だと思います。
 更なる対策として、口頭試験の練習を職場の先輩などにしてもらいたいところです。

4.受験者へのアドバイス等
 試験対策の中でも、知識と文書作成能力は一長一短で身につくものではありません。試験受験要件を満たす前から、技術士取得を意識して、 業務にあたりましょう。自分の業務成果を学会報告などでまとめることもよいと思います。
 また家族や職場のサポートも不可欠です。周りに受験を宣言し、プレッシャーをかけてもらいましょう。私は、いつになったら技術士をと るのかと妻からプレッシャーを受け、家事を免除してもらい時間をもらうことで、合格することができました。感謝するとともに頭が上がら ない状況です。同じ境遇になる必要はありませんが、周りの協力を自分の力にして試験に挑みましょう。



  発注関係事務の資質・能力向上にむけて

 〔取得した資格〕
  公共工事品質確保技術者(T)
 〔資格取得年度〕
  平成30年度


 藤本 正典(ふじもと まさのり)
 
国土交通省 近畿地方整備局
企画部 技術調査課長
  1.受験の動機、経緯
 私は平成28年から2年間、企画部技術管理課に在籍していました。その時に発注者協議会の事務局や建設業団体との窓口を主に担当して おり、発注者協議会では品確法に基づく発注関係事務を適切に実施することについて地方公共団体等の皆さまと多く議論する機会がありました。
 また、建設業団体からは入札制度や担い手確保のための施策についてなど様々な要望が寄せられ、新しい取り組みを検討し、議論する機会 にも多く恵まれました。
 このような機会を得て、もっと多くの関係者の皆さまにも理解を深めていただく、より良い制度設計を検討していくためにも本資格取得は 有効と考え、資格取得に取り組みました。

 2.試験の傾向と対策
1)資格要件
 本試験の受験資格は、発注関係事務に関する経験の要件(A要件)として、発注者の場合は「公共工事の発注機関において発注関係事務に 指導的立場で5年以上の経験」が必要となります。なお、指導的立場とは、本庁・本局の課長補佐以上、出先機関の課長以上となります。
 さらに、品質確保に関する経験の要件(B要件)として、「公共工事の総合評価落札方式等に係る発注関係事務に指導的立場で2年以上の 経験」が必要となります。なお、B要件については品確技術者(T)のみ必要な要件で、品確技術者(U)では不要となります。
2)書類審査
 試験申込み時に書類審査として、2つの課題論文の提出が必須となります。
 論文1は、B要件にあたる経歴の中で一事例について概要と直面した課題及び課題に対して工夫した点や苦労した点等を記述します(立場、 概要400字以内、課題・処置等1,200字以内)。
 私は、「総合評価落札方式におけるチャレンジ型入札方式の導入、取り組みについて」をテーマとしました。近畿地方整備局では平成26年 度より多数のチャレンジ型入札方式に取り組んでおり、毎年のようにより良い制度を目指し、マイナーチェンジや試行工事の新設を行ってい ます。論文では主に「担い手確保の観点」、「企業の参入促進の観点」、「品質向上(品質確保)の観点」、「受発注者相互の負担軽減の観点」の 4つの観点に基づく取り組みの中での課題や工夫等について記述しました。
 論文2は、「発注関係事務の運用に関する指針」の中で「発注者の責務」に関する部分について、概要を記述するというものでした(1,200 文字以内)。
 指針については、本省HPで入手可能ですので、簡潔にポイントを押さえて記述することに注力すれば、それほど難易度の高いものではありま せんでした。

 3.口頭試験における傾向と対策

  〇面接試験
 面接試験(口頭試験)は、10月.11月に全国9都市で実施されます。口頭試験内容は詳しくは記載できませんが、2人の試験官から業務 経歴証明書、課題論文の記述内容及び理解度等についての確認、実務経験、知識、適格性等について30分程度、質問が出されます。
 面接に向かっての対策(学習)としては、当然ながら提出した業務経歴、論文については暗記していることが必要です。また、品確法につ いても内容だけではなく、その背景等についても理解が必要となります。しかしながら、全てを記憶・理解するのはなかなか大変(実際私も 年齢からか…覚えるスピードも鈍っており、またすぐに忘れる、滑らかに説明できないなど苦労しました)ですので、少しの時間でも良いの で日々の取り組みをお勧めします。
 また、総合評価入札方式についても毎年のように新しい取り組みが行われていますので、品確法と同様にインターネット等で関連資料を入 手し、幅広い知識を身につけることが必要です。
 

4.受験者へのアドバイス、注意点、励まし等
 受験申込みが5.6月で、その時に課題論文を提出するのですが、面接試験までを見据えた論文作成が、約5ヶ月先の面接試験に有効とな ります。どうしても、論文では色んなことを盛り込みたいとの思いから沢山の情報を記述しがちですが、結果、面接試験での質問回答に苦労 することにもなりかねません。
 簡潔明瞭な論文がその後の面接試験に繋がりますので、申込み期限に余裕を持って準備を行うことが大切です。
 今年度も間もなく受験申込みが開始されます。
 発注関係事務の資質・能力向上に向けて、皆さんも受験に取り組んでみてはいかがでしょうか。