■技術資格試験合格体験記

  技術士へのプロセス

 〔取得した資格〕
  技術士(建設部門 道路)
  技術士(総合技術監理部門)
 〔資格取得年度〕
  平成19年度 平成20年度


雑賀 宗博 (さいか むねひろ)
和歌山県 県土整備部
港湾空港局 港湾整備課
課長補佐兼港湾整備班長
  受験の動機
 キーワードは「経験とプロセス」です。
 振り返れば、社会に出てからは、なりふり構わず仕事をしてき た感があります。今から10年程前に、あるコンサルタントの方と 仕事をしました。技術力の高さとともに、信頼できる技術者とい うイメージがありました。その方が技術士でした。その頃から、 「自分は土木技術者として社会資本整備を担うに値する技術力が 備わっているのだろうか」と考えるようになり、技術士を志すき っかけとなりました。
 最初の受験は平成13年度です。当時は勉強の仕方が判らずに、 不合格となりました。これは修行が必要かと思い、その後数年間 は周辺知識の勉強をしていたのですが、平成17年にVEL(バリ ューエンジニアリングリーダー)の資格を取得したときに、その 体系だった技術プロセスに触発され、少し頭の歯車が回ってきま した。この頃、動機は“ミドルマネジメント”に変わってきまし た。一般職員から中間管理職になり、組織におけるポジショニン グの変化に対応するため総合技術監理を通じ自分の能力を高めて おく必要があると考えるようになりました。
 その後、平成19年度に第二次試験の改正があり、暗記力や速記 力の負担が幾分軽減されました。これが私に合っていたのか、続 けて合格することができました。
 筆記試験における傾向と対策
 キーワードは「読む、考えて、書く」です。  建設部門の受験対策として、基本論文を10論文ほど作り、あと は組み替えと部分的な追加をして30論文ほど作成して備えました。 一方、総合技術監理部門は自身の技術的体験をまとめて基本論文 を一つ作っただけでした。あとは過去問題や想定問題に対して、 ひたすら頭の中で解答シミュレーションを繰り返していました。
 専門技術がテーマの建設部門と、組織管理がテーマの総合技術 監理部門の答え方には大きな違いがあります。これには、試験勉 強の早い段階で頭の切り替えが必要でした。
 口頭試験における傾向と対策
 キーワードは「聞く、考えを、話す」です。
 合格してから体験論文を事前提出しなければなりませんが、時 間的に厳しいので、早い時期から作成されることをお勧めします。
 さて、総合技術監理部門の試験当日、渋谷ハチ公を見て気を落 ち着かせて、試験会場の渋谷フォーラムエイトへ入りました。私 の場合、業務経験を一通り10分で説明するように指示され、次に、 業務経験及び体験論文の中身を深く質問されました。あっという 間に30分は過ぎてしまいます。
 反省点は次の2点です。1つめは、結論は言えても、「なぜそう なるのか」という説明が不十分になりがちなこと。2つめは、ど うしても「行政答弁」になりがちなこと。あくまでも「プロフェ ッショナルエンジニア」として答えるべきです。
 受験者へのアドバイス、注意点、励まし等
 私の体験から、皆様へのアドバイスとしては次の3点です。
 1番目は“業務経歴”です。受験申込の際に非常に重要となる もので、筆記試験、体験論文、口頭試験がこれによってコントロ ールされてしまいます。この業務経歴の業務のどれを聞かれても 一通りのことを答えられなければなりません。4月の受験申込の 際に、既に能力を試されているのです。
 2番目は“リテラシー”です。例えば「総監リテラシー」とは、 総合技術監理部門の基礎的な知識があり、それを使いこなせる能 力、応用力があるかどうかが判断されます。先ず「記憶より頭の 整理」をして「ロジックツリー」を磨いておく必要があります。
 3番目は“コンサルタント”です。組織では組織の長が意思決 定をしますが、公共事業では最終的には国民、県民、市民が意思 決定をします。自らの責任で。そういう意味で、“コンサルタン ト”としての責任が我々技術者にはあるのではないか。このよう なポリシーが技術士に挑む技術者に必要ではないかと考えます。
 特に参考となった出版物
 技術士ハンドブック」((社)日本技術士会プロジェクトチーム 技術図書刊行会編)を建設部門の受験前に一読しました。「技術士 が備えるべき技術とは何か」を知るのに大いに役立ちました。


  技術者としての成長

 〔取得した資格〕
  技術士(建設部門 道路)
 〔資格取得年度〕
  平成20年度


岡本 信也(おかもと のぶや)
阪神高速道路株式会社
建設事業本部 大阪建設部
守口ジャンクション建設事務所
主任
 受験の動機、経緯
 大学で土木工学を学び、入社1年目の頃、自分が社会の中で、技 術者としてどのくらい通用するのか、活躍できるのか不安でした。 業務で対話するコンサルタントや請負工事業者の技術士の方々が 皆さん優秀でしたので、その優秀さ、賢明さ、誠実さに憧れまし た。また、自分の実力(技術力)が確認でき、証明できるものが 欲しいと感じていたため、技術士に挑戦することにしました。
 筆記試験における傾向と対策
 さまざまな情報収集が可能なようにアンテナを高く保つことを 心掛けました。専門に道路を選択したので、国土交通白書だけで なく、国土交通省道路局のホームページや本省が開いている審議 会、分科会等の資料も確認し、最近の動向や今後の方向性をチェ ックしました。
 また、論文の書き方も勉強しました。特に技術士試験では、“具 体例を挙げ、課題の方策についてあなたの意見を述べよ”と問わ れることが多いため、事実(論拠)と意見(考え)を明確にした 記述ができるように訓練しました。さらに、事象に対し、“それは なぜか、何のためか”の問いを繰り返すことや、目的と手段の関 係性で事象を整理するVE的考え方も参考としました。
 日々の業務の中でも、事実に対しその目的やなぜ必要なのかを 考えることや、事実に対して自分の考えをまとめることを習慣付 けました。
 経験論文は、いろいろな事柄について記述したくなりましたが、 “自分が汗をかいたことを書く”ことに絞って記述しました。
  口頭試験における傾向と対策
 口頭試験には、私が受けた内容と感想を述べます。経験論文で は10分程度で詳述内容と略述内容を説明することが求められまし た。質問には本当に自分が実施した業務かどうか、どこが技術士 として応わしいのかなどを聞かれました。
 また、用語や最近の問題・課題についても質問がありました。 質問は、経験論文に関連する分野から出ているのか普段の知識で 答えることができました。最後には、技術士の3大義務と2大責務 についても質問されました。
 受験者へのアドバイス、注意点、励まし等
 合格するためには一定量以上の勉強や試験対策が必要と感じま した。しかし、後から考えると、試験に向かって勉強していると きこそが、技術者として成長している最中であったのではないか と思います。そのため、大切なのは、合格レベルに達することよ りも技術者として成長することであったと思います。技術士試験 は、試験勉強を通して技術者として資質向上を図っていけると思 いますので、日々の業務も忙しいですが、志高く、くじけず挑戦 して欲しいと思います。
 特に参考となった出版物
 理科系の作文技術(中公新書)、時速1,000字で書く技術(すば る舎)、技術士第二次試験「口頭試験」受験必修ガイド(日刊工業 新聞社)


  現場知識と施工管理知識

 〔取得した資格〕
  一級土木施工管理技士
 〔資格取得年度〕
  平成20年度


真木 正弘(まき まさひろ)
奈良県 まちづくり推進局 
緑化フェア推進室 企画運営係 主査
 受験の動機、経緯
 側溝の敷設時、型枠を組む際にどれくらい余裕幅が必要か、み なさんは初めからご存じでしたでしょうか。側溝の敷設には吊り 上げる器具を用い、敷設時にはその器具を取り外します。器具を 取り外す作業は手で行いますので、作業を行うだけの余裕幅が必 要となります。型枠も同様にセパレーターの取り外しに余裕幅が 必要です。
 現場には学校で学ぶことのできない現場知識が多くあり、この 現場知識を無くしてはより良い設計、現場施工を行うことはでき ません。
 このことから、私が土木技術者として奈良県に採用されてから、 まず現場経験を積むことが重要なことであると考え、担当現場以 外にも足を運び、また先輩やコンサルタント会社、施工会社など へも積極的に質問し、現場経験と現場知識を養ってまいりました。  そんな現場知識のみで走り続けている私をみた先輩が「現場経 験のみの知識だけではなく、施工管理の知識を合わせたトータル の知識をもって現場監督に臨まなければ、本来必要な品質が確保 された構造物は造れない」と強く助言されました。自分自身、そ の助言にはあまり納得はしていなかったのですが、「資格を持つの も悪く無いか」と思い、一級土木施工管理技士試験の受験を申し 込むことにしました。
 実際、資格取得までの過程において、“現場試験にはこういう意 図があったのか”、“こんなことも重要なのか”といった発見と、 自分の知識の薄さをつくづく思い知らされることとなりました。  現場知識はとても重要なことだと今でも思っております。しか し、施工管理についても同じくらい重要な知識であると、本資格 試験を経験することで気付くことができました。
 皆様方においても、是非、一級土木施工管理技士資格の取得に 挑戦していただき、施工管理に関する知識の向上を図っていただ ければと思います。
 学科試験における傾向と対策(合格するためのポイント)
 学科試験は選択問題です。私の勉強方法はとにかく数多く問題 をこなし、頭にたたきこむことでした。使用した参考書は、例題 がたくさん掲載しているもの(これをメインに使用)と事細かく 記載されている参考書(あくまで練習問題で間違えた内容を再度 調べ直す資料)でした。
 実際の試験ではどの問題を選択するかがとても重要となります。 したがって、事前の勉強において得手不得手をしっかり把握し、 得意分野については確実に解答できるように、不得意分野につい ては、最低限必須項目の対策を図ることが良いと思います。
 実地試験における傾向と対策(合格するためのポイント)
 実地試験は学科試験と違い記述式の解答となります。問題は経 験記述と学科問題とに分別されており、私は学科試験同様、問題 集を用いて勉強をする対策を立てましたが、私が受験した年度は 過去の傾向とは大きく異なり、非常に戸惑いを感じました。
 しかしながら、学科試験対策で勉強していたことを記述すれば 解答できる問題であったため、やはり学科試験対策をしっかり立 てておくことが重要だと思います。
 経験記述に関しては、安全な品質確保を意識した現場施工とな るよう普段から心掛けていることを記述すれば大丈夫であると思 います。ただし、念のため、経験記述対策の資料にも目を通して おきましょう。
 受験者へのアドバイス
 一級土木施工管理技士試験の勉強は、実際の現場においても非 常に役立つ知識がたくさんあります。試験対策もそんなに難しい ものではないので、是非挑戦してみてください。
 特に参考となった出版物(名称、出版社等)
「4週間でマスター 1級土木施工管理技術検定問題集」(弘文社)


  技術資格の取得から学んだこと

 〔取得した資格〕
  一級土木施工管理技士
 〔資格取得年度〕
  平成20年度


田中 岩太(たなか いわた)
新潟県 長岡市 土木部
下水道課 技師
 受験の動機、経緯
 土木技術職員として採用され、直後に新潟・福井豪雨災害(私 の誕生日でした…)、中越地震、さらには中越沖地震を経験し、甚 大な被害を受けた上下水道・電気・ガス・通信等ライフラインの みならず、道路や橋梁等インフラの大切さを肌で感じました。
 当時は右も左もわからない状態で災害復旧事業に携わり、先輩 職員に指導を受けながら何とか復旧を終える頃には既に4年が経 過していました。この間に土木技術者としての未熟さ、社会基盤 整備に携わる責任の重さ、さらには技術力の重要性を感じていま した。
 このことから、技術力の向上のための1つの方法として資格を 取得することを決意しました。
 また、日頃の業務の中で請負者に対し有資格者を求めているこ とから、監督員として対等な話をするためには「同様な技術力が 必要」と先輩職員にアドバイスされ、参考図書を渡されたことも きっかけとなりました。
 試験の傾向と対策
 受験するにあたり、幅広く書かれている参考図書を利用しまし た。これを基本として、疑問な点やより詳細な内容を調べたい場 合には専門書、HP等で確認するようにしました。
 学科試験については毎年同じような出題傾向が続いており、基 本的な知識を広く要求されています。過去問を5年分程度まとめ ることで、ほとんどの範囲の対策が図れることから効果的である と思います。
 実地試験については年々難易度が上がってきているように感じ ます。そのため、単語の記憶だけでは学科試験は乗り越えられて も実地試験では通用しないと思います。問われているテーマに対 し問題点を見出し、解決方法とそれに伴う工程・安全・品質とい った施工管理などを総合的に記述できなければなりません。
 また、1つのテーマに対し複数の解決策や問題点を解答するよ う求められます。そのためには、実際の現場での施工手順や予測さ れる問題点とその解決策といったストーリーを思い描けるように、 日頃から数多くの現場を観察しておくことが重要だと思います。
 受験者へのアドバイス等
受験するからには「一発で合格する!」という強い意思で望ん で欲しいと思います。
 受験する全ての人が、仕事やプライベートの用事により時間の 無いなかで受験勉強に取り組み、試験に望んでいます。忙しいと いうことを言い訳にせず、自分自身の勉強スタイルにより、継続 することで合格を掴み取ってください。
 また、若手職員の積極的な資格取得をおすすめします。資格取 得を通して基本的な知識を幅広く修得することができるだけでは なく、プラスαの何かを得ることができるからです。
 私の場合、冒頭で述べたように技術者としての未熟さから資格 の取得を決意しましたが、結果的には自分への自信につながり、 さらには広い視点で物事を見ることができるようになったと感じ ています。
 今では資格の取得が私を技術者として成長させてくれたと信じ ており、平成21年度は技術士第一次試験を受験し合格することが できました。
 今後も初心を忘れず、さまざまなものにチャレンジし、技術力 の向上を目指していきたいと考えております。  最後に、「若手職員の技術力が低下している」とよく耳にします が、若手職員もやるんですよ!とアピールしていきましょう。


  中高年の皆さん、経験を記述してみませんか?

 〔取得した資格〕
  公共工事品質確保技術者(T)
 〔資格取得年度〕
  平成21年度    


三上 幸範(みかみ ゆきのり)
千葉県 県土整備部 
夷隅地域整備センター 技術次長
受験の動機、経緯
 昨年の月刊建設の3月号だったと思いますが、「公共工事品質確 保技術者試験の申し込みが7月頃」という記事が目にとまりまし た。そういえば、平成18年度から19年度に、千葉県に総合評価方 式の導入および拡大のため、担当者の一員として、よくやったな あ!と思い出しました。5月頃に、全建のHPに募集要項が掲載 され、受験資格要件や課題論文が明らかになり、公共工事品質確 保技術者(T)、および(U)とも受験資格要件を満たしていたこ ともあり、自分の経験してきたことを試してみようと思いました。
 論文作成における傾向と対策
 受験を公共工事品質確保技術者(T)とした理由は、総合評価 方式の導入および拡大を図るときに、課題も多かったことから、 半年に一度、ガイドライン等を小改定する必要があったため、多 くの改善策を考えたとの思いが強く、(T)の方が書きやすいと感 じたからです。
 転勤の際、持ち帰った総合評価方式に関する資料が引っ越し用 段ボール箱3箱あり、その数十冊のファイルを読み返しました。 その際平成18年7月に、突然部長に呼ばれ、上半期までに総合評 価方式を数本試行して欲しいと言われ、動揺したことなどを思い 出しながらも、論文2(直面した課題並びに課題に対して取った 措置)については、直面した課題を3項目としました。論文3 (〜現在の課題及びその改善策〜)については、4課題を抽出し ました。改善策は、その時できたことを書いたので、現時点で考 えると抜本的な改善策ではないものもありました。
 口頭試験における傾向と対策
 10月の中旬、受験票が届き、自分達が一生懸命取り組んだこと を評価していただき、大変うれしく思いました。
 受験票の送付文に、「面接試験について、業務経歴書に記載の内 容(業務や立場等)、提出論文の内容(当該業務や立場等)を十分 に把握しておいて下さい。」というメッセージがありましたので、 総合評価方式の導入以外の発注関係事務についても、記述した職 務内容の詳細を文章化しました。また、公共工事品質確保は幅広 いことから、全体の把握に努めました。さらに、提出論文の内容 については、課題ごとに想定問答を2〜3用意しました。その結 果、数十冊のファイルのページは、付箋だらけになりました。
 面接試験は2名の試験官により実施され、それぞれ質問に対し 的確に答えようとする気持ちが先行し、質問の内容が聞き取れず、 自分から質問内容を確認させていただいたことが数回ありました。 想定していた質問に近いものもいくつかあり、饒舌であったもの もあるし、少し詰まりながら答えた項目もありました。
受験者へのアドバイス、注意点、励まし等
 今回の受験は、自分が通常業務の中で努力したこと、また、知 り得たことを記述してみたいと言うことがきっかけであり、受験 したことは、勤務証明をしてくれた現勤務先の所長しか知らない ことになっています。
 本稿により、県内の月刊建設に日頃から目を通している方に知 られてしまいますが、自分に与えられた仕事を創意工夫し進める ことにより、臨むことのできる試験であり、会員の方々が受験し ていただけたらと切に願い、執筆させていただきました。公共工 事品質確保は、工事の計画段階から調査、設計入札、現場管理、 完成検査、さらには維持管理までをしっかり行うことであり、こ れからも自己研鑽してまいりたいと思います。
 特に参考となった資料
情報収集等は、国土交通省のHPや関東近県のHPを拝見させ ていただき、最近の動向を確認しています。
 総合評価方式の導入及び拡大にあたり、国土交通省関東地方整 備局企画部、千葉国道事務所、関東の総合評価先進自治体の方々 に適切なアドバイスをいただけたことを深く感謝しているところ です。


  「公共工事品質確保技術者(U)」
 を受験して…傾向と対策!


 〔取得した資格〕
  公共工事品質確保技術者(U)
 〔資格取得年度〕
  平成21年度


 鉞   康 義(まさかり やすよし)
財団法人  岐阜県建設研究
センター 社会基盤情報部
主任技師
 受験の動機
 私の業務は、県および市町村の公共事業の補完・支援をするた め、発注準備から施工管理・維持管理などの発注者支援を担当し ています。今後、センター公益法人改革もあり民間コンサルタン トと競合して生き残るため、この資格を取得していれば発注者か ら技術力を評価される時に有利になることが予想され、将来への 準備という考えで受験しました。
 この資格は受験資格要件がありますが、私の場合は担当技術者 14年の経験があるため、担当技術者12年以上の経験に該当したの で受験資格を得ることができました。
 論文提出の準備
 最大の難関として、事前に論文提出があります。その課題は、
 論文1「公共工事の品質確保の促進に関する法律」の背景とそ の概要
 論文2「公共工事の品質確保に関して、あなたが特に関心を持 って取り組んだ一事例について、事務、業務の内容、直 面した課題・処置およびその理由」
を記述しなさいという内容でした。
 論文1では、「品質確保」を一から整理し直す絶好のチャンスで あると考え、同僚と何度も議論しながら、なんとか作成しました。 その結果、お互いの技術的な意識のレベルを向上することにも繋 がりました。
 論文2のテーマとして、これまでに担当した業務から特に環境 に配慮した大楢谷川における河川災害において、スナヤツメ(ウ ナギの一種)の成育に配慮した災害復旧工事を選定しました。こ の工事は規模こそ大きくはないものの、限られた期間の中で、多 くの現地調査を行い、公共工事における品質はもとより、特に環 境に配慮した設計が実現できた非常に思い入れのある現場でした。 これまでは公共工事の品質は竣工した構造物や、現場の状況等、 計画として安全か、あるいは構造的に安全であるかを第一に考え てきました。しかし、近年の社会環境は地球規模で悪化しており、 地域レベルでのリスクは将来における大規模なリスクと相関して いるという認識から、環境への配慮は土木技術者として考慮すべ き重要な品質の一つと位置付け設計に取り組みました。公共工事 の品質確保に関する法律では、その目的と基本理念において、環 境の重要性が掲げられており、担当した現場において、設計の効 率性、安全性、環境への配慮に着目し、それぞれにどのような工 夫を行ったかを具体的に記述しました。
 口頭試験における傾向と対策
 試験官は2名でした。ここでは、冒頭に記載した論文1・2に ついて質問されます。具体的には、
 @論文1に記述した、品確法ができた背景・概要および基本理 念について説明をする。
 A論文2に関する質問では、「論文で記述した以外の業務におい て管理技術者の視点からの品質確保に努めた業務はあります か?」
との質問でした。論文以外の現場経験をあらかじめ3例ほど用意 してその場で慌てないようにして置くとよいでしょう。
 全体を通して私が注意した点は、
 1 .最初に試験官に名前を呼ばれたら大きな声で返事をする。
 2 .聞かれたことに対してできるだけ簡潔にまとめ、ハキハキと 最後の語尾まで大きな声で答える。
 3 .質問の内容に対して、知らないことや業務経験がない事項を 聞かれた場合は、その場しのぎのあやふやな回答などの
   対応をせず、「判りませんので今後勉強し挑戦します」「そのような業 務経験がありませんので、帰ってすぐ調べます」と
   いった真摯な姿勢を示す。
 4 .最後に試験官の目を見て「ありがとうございました」と一礼 して退席する。
等です。
 受験者へのアドバイス、注意点、励まし等
 ○正直、口頭試験までに品確法は丸暗記して下さい。・・・(基本理念や背景・概要)
 ○自分が書いた提出論文に対して覚えるのは勿論のこと、それ以外の事例も「広く浅く」で良いので用意する。
 ○品確法や総合評価方式について個人的意見を聞かれるので、普段から品確法を意識して仕事をすることにより、 自分の
  考え方を整理すると良いと思います。
 最後に、「試験は自分本来の実力を全て発揮できるかを試す場」 なので、失敗を恐れず挑戦することが大事だと思います。  特に参考となった資料
 ※社団法人 全日本建設技術協会 HP
 http://www.zenken.com/hinkaku/hinkaku.html
 ※国土交通省 北陸地方整備局 HP
 http://www.hrr.mlit.go.jp/gijyutu/hinkaku/html/hinkakuhou.html